双極性障害(双極症)に対するリハビリ:心がけていること

目次

作業療法をする際に心がけていること

私は普段、主に高齢者や脳卒中などの疾患を持ちつつ、地域で暮らしている方を対象にリハビリを行っています。
その前は総合病院で様々な疾患の方を対象にリハビリを行ってきました。
リハビリを受ける方は、「良くなりたい!」と思っている方がほとんどです。
そのなかで、利用者側・リハビリを提供する側(私)双方で目標を立てて行います。

ネット心理教育のゼミ・ワークを受けたり、このコラムを読んでいる方のなかには、
リハビリを受けたことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
「なんでこのリハビリをするのかな・・・」と思った方もいるでしょう。
そこで、私がリハビリを行うなかで、心がけていることをお伝えします。
個々のリハビリ職によって考えが異なりますので、あくまでも私の考えということをご了承ください。

心がけていること一覧

私が心がけていることは以下の通りです。

  • 「その人らしさ」を大切にする
  • 目標や多職種との情報共有
  • 利用者、患者様とのコミュニケーション、観察力
  • 体力、忍耐力の変化

他にもありますが、専門的になってしまうのでこのあたりで。
各項目別に詳細をお伝えしていきます。

「その人らしさ」を大切にする

疾患の有無に関わらず、性格や生まれ育った環境、考え方などといった、人生の歩み方は全員違います。
このコラムは恐らく精神疾患、特に双極症の方が多く読んでいらっしゃると思います。
同じ双極症でも、症状や悩み、現在置かれている状況が全く同じ人はいません。

同じじゃないからこそ個性があり、「その人らしさ」が生まれる。
双極症を利点・欠点と捉えるか、受け入れられるかもまた、「その人らしさ」で個性の1つ
作業療法士として一番大切にしていることです。

目標や多職種との情報共有

人生において「目標」を立てる方は多いと思います。
私はリハビリをする際には、利用者の方と一緒に目標を立て、共有します。
これを「インフォームドコンセント」といいます。
お互いが目標や治療方針に納得した場合には、リハビリ意欲が増加し、信頼関係が生まれやすい実感があります。
治療効果も上がっているのかな?という印象もあります。
現在受診している方で、治療方針に疑問や不安がある方は、一度主治医に相談してみてはいかがでしょうか?

また、多職種やご家族との情報共有も大切にしています。
医師・看護・介護・リハビリ職・御家族・社会福祉士、精神衛生福祉士など、
様々な視点から見た情報を共有し、利用者や患者様の治療・今後の方針を決めています。

利用者・患者様とのコミュニケーション、観察力

リハビリを行うなかで、私はコミュニケーションを多くとるようにしています。
ある程度お会いする回数を重ねると、

  • 声の大きさやトーン
  • 表情やしぐさ
  • 全身の服装や雰囲気
  • これまでの人生
  • 今の考え方、悩み、不安

といったことから、日々の体調や心情の変化、人生を知ることができます。
信頼関係を築くこともでき、ちょっとしたことも気づけるように心がけています。

体力・忍耐力の変化

体力というのは身体的な疲労度。作業内容・時間・人数・環境などのあらゆる設定を通して、
疲労度がどれぐらいあるか、それがいつまで残るのか?などを確認するようにしています。

忍耐力というのは精神的・心の疲労度。あらゆる作業設定のなかで、実際にどのように感情が動いたか。
その感情は自己処理できる、我慢できない?周りとのコミュニケーションはできる?疲労度は?
など、客観的にみています。
ご自身にも評価をしてもらい、客観的な評価とのすり合わせも行います。

リハビリを通して体力・忍耐力の変化はあるか、それはいい・悪いを含めて気にしています。
自分では「これぐらいできる!」と客観視しがちな体力・忍耐力の増減は、大きく生活の質に関わってきます。

まとめ:生活の質を高めるには複合的に考える必要がある

ここまで、私が作業療法士として心がけていることをお伝えしてきました。
利用者・患者様の「主観的」な評価と私の「客観的」な評価の乖離をできるだけ少なくする。
これが生活の質を高めることに繋がるのではないかと考えています。

リハビリを提供する時間はその人にとって1日のわずかな時間です。
そのなかで複合的に情報を評価し、「その人らしさ」が出せるようにしていきたいと思っています。

うつ期・躁期・寛解期でも、「その人らしさ」とは何でしょうか。
「自分らしさ」とは何か? ゆっくり考えてみてください。

参考URL

インフォームド・コンセント – Wikipedia
チーム医療とは | チーム医療推進協議会 (team-med.jp)

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