双極症の信頼できる情報の見分け方
SNS時代の情報リテラシー:心理社会的支援を例に
インターネットやSNSには正しい情報も間違った情報も混在しています。特に双極症のような精神疾患の治療法に関する情報を探す際、どのようにして信頼できる情報を見分ければよいのでしょうか?この問題は、以下のようなで難しさがあります。
- そもそも知らないことについて検索している
- 様々な情報が得られるが、その正誤を判断しなければならない
- 自分に知識がない状態で、情報の正確さをどう判断するか
この課題に対処するため、科学哲学や自然科学における新発見の受容プロセスを参考にしてみましょう。
医学における標準治療と個体差
医学の分野では、各疾患に対する標準治療法が確立されています。例えば、双極症に対する心理社会的療法や薬物療法は、数百例もの臨床成績に基づいて有効性と安全性が確認されています。これらの研究結果は、複数の査読付き論文として公表され、継続的に情報が更新されています。
しかし、個体差も重要な要素です。ある患者にはA薬が効果的でも、別の患者にはB薬の方が効果的という場合があります。このため、双極症の治療においても、標準治療を基本としつつ、個別の対応が必要となることがあります。
怪しい情報、疑わしい情報の見抜き方
信頼性の低い情報を見分けるポイントは以下の4点です。
- 記述パターンから「誤った記述形式」を除外する
- その情報の主張は既存の知識体系の延長、あるいは整合性がとれているかを確認する
- その情報の根拠が示されており、それは妥当なものか、論理に矛盾はないかを確認する
- 認知バイアス(人は自分自身に都合の良い情報を選択してしまう傾向がある)に注意
これらのポイントについて、詳しく見ていきましょう。
1. 記述パターンから「誤った記述形式」を除外する
以下のような特徴がある情報は、注意が必要です。
必ず治ると断定しているもの
科学的な医療では「必ず」と断定できるものはありません。双極症の治療においても、完治を保証する治療法はありません。代わりに、症状の軽減や再発予防に焦点を当てた治療が行われます。
個人的な感想
ある個人にとって効果があったとしても、それをすべての人に当てはめることはできません。双極症の症状や経過は個人差が大きいため、一人の経験を一般化することは適切ではありません。
無責任な雑誌記事
学術論文ではない雑誌記事は、話題性を重視して書かれていることがあります。たとえ著名な専門家の記事であっても、査読を経ていない場合は信憑性が低い可能性があります。
標準的な医療を否定している
新しい治療法が登場する際には、十分な根拠と専門家集団による検証が必要です。双極症の標準治療を否定し、代替医療のみを推奨する情報には注意が必要です。
「最先端の医療」と強調している
「最先端」と称する医療の中には、十分な検証を経ていないものもあります。双極症の治療においても、新しい治療法の有効性と安全性が確立されるまでには時間がかかります。
2. 既存の知識体系との整合性を確認する
新しい情報が、既知の医学的知見や研究結果と矛盾していないかを確認しましょう。双極症に関する情報であれば、精神医学や心理学の基本的な理論と一致しているかを確認することが重要です。
3. 情報の根拠と論理的整合性を確認する
信頼できる情報源からの引用や、適切な研究結果に基づいた主張であるかを確認します。双極症の治療法に関する情報であれば、臨床試験の結果や専門家の見解が明確に示されているかどうかを確認しましょう。
4. 認知バイアスに注意する
自分の希望や予測に合致する情報を無意識に選んでしまう傾向があります。双極症の治療法を探す際も、自分の期待に沿った情報だけでなく、客観的な事実を重視することが大切です。
まとめ
インターネットやSNS上の情報、特に双極症の治療法や心理社会的支援に関する情報を評価する際は、批判的思考が重要です。標準的な医療情報を基本としつつ、個々の情報の信頼性を慎重に判断しましょう。疑問がある場合は、必ず専門医や信頼できる医療機関に相談することをおすすめします。
正確な情報に基づいた適切な治療選択が、双極症の方々のQOL向上につながります。