双極性障害(双極症)における対人関係:ストレス要因と解決策
目次
はじめに
ストレス因子の中でもずば抜けて影響のある「対人関係」について考えてみました。退職理由の7割が人間関係というデータもあり、私たち双極性障害(双極症)当事者への影響も大きいと感じます。対人関係におけるストレスは、多くの要因から生じます。以下、その主な要因を探ってみましょう。
対人関係におけるストレス要因
一般的なストレス要因
一般的には以下のようなものであると言われています。
- 意見の相違と価値観の衝突:個人間での見解の違いが対立の元になります。
- 社会的圧力:友人、家族、同僚からの期待や圧力がストレスを引き起こすことがあります。
- コミュニケーションの不足:効果的なコミュニケーションの欠如が誤解を招くことがあります。
- 孤立感:孤独感や孤立感が生じることがあります。
- 役割のストレス:職場や家庭での期待される役割と自己認識のギャップがストレスになります。
双極性障害(双極症)特有の対人関係ストレス
それでは我々双極性障害(双極症)当事者にはどのような対人関係のストレスがあるでしょうか。病気特有の傾向から以下のようなストレスが生まれる可能性があります。
- 感情の波動:躁うつの波により、対人関係が不安定になりがちです。
- 社会的引きこもり:うつ状態にあるとき、社会的活動が減少し孤立感が増します。
- 誤解と対立:躁状態やうつ状態における行動の変化が誤解され、対立を生じることがあります。特に躁の時に誤解されやすいです。
- 信頼関係の問題:一貫性のない行動が信頼関係の構築や維持に影響します。
- 感情調整の困難:感情の波が激しく、対人関係の中での感情のコントロールが難しくなります。
上記は一部の例ですが、このような影響をもって対人関係のストレスが発生するのですね。
対人関係改善のための心理療法
それでは心理療法を活用して対人関係の問題を解決できる部分はあるのでしょうか。「認知行動療法」と「対人関係・社会リズム療法」の2つの心理療法を活用して解決する方法を模索します。
認知行動療法(CBT)によるアプローチ
認知行動療法(CBT)は、思考、感情、行動のパターンを理解し変えることを目的とした心理療法です。特に対人関係の問題を解決する際のアプローチは以下の通りです。
- 思考の認識と変更:対人関係における誤った思考パターンや、否定的な自己認識を特定し、より現実的で肯定的な思考に変えます。
- 行動の修正:対人関係における否定的な行動を認識し、積極的な相互作用に向けて行動を修正します。
- 感情の管理:対人関係におけるストレスや怒りなどの感情に対処する方法を学び、感情的な反応を管理します。
- 対人関係スキルの向上:効果的なコミュニケーション、衝突解決の技術などを学び、より良い対人関係を築くためのスキルを向上させます。
対人関係・社会リズム療法(IPSRT)によるアプローチ
対人関係・社会リズム療法(IPSRT)は、生活リズムと対人関係を整えることに重点を置いています。まさに対人関係の改善を行う事を重視している心理療法です。具体的なアプローチは以下の通りです。
- 日常リズムの安定化:日常生活のリズムを整えることで、対人関係における感情の安定を目指します。
- 対人関係の評価:現在の対人関係を評価し、問題点を特定します。
- 社会的支援の強化:家族、友人、同僚などの社会的ネットワークを活用し、支援を得る方法を学びます。
- コミュニケーションの改善:効果的なコミュニケーションスキルを習得し、対人関係の誤解を減らします。
- 感情の調整:対人関係における感情の起伏をコントロールし、安定した関係を築く助けとします。
まとめ
双極性障害(双極症)を持つ私たちにとって、対人関係は大きな影響を与えます。私自身も発病以後対人関係に苦手意識を持ってしまうことがありますが、人は一人では生きていけません。
認知行動療法や対人関係・社会リズム療法など、さまざまな解決アプローチを通して問題を解決し、健康的な対人関係を築くことが重要だと考えています。私も人、相手も人。皆対人関係で悩んでいます。オープンマインドで解決していきたいですね。