双極症(双極性障害)のリハビリ:自宅で行える認知機能低下のリハビリ

双極症Ⅱ型当事者、作業療法士のおとです。
前2回は、うつ状態の際に自宅で行えるリハビリについてお話ししてきました。
レベル①自身では何もできない状態のリハビリ
レベル②精神症状が少し改善し、家の活動ができるようになった状態のリハビリ

https://shinrikyoiku.com/2024/09/21/reha/
レベル③精神症状がさらに改善し、家での活動+αのリハビリ
https://shinrikyoiku.com/2024/09/28/riha2/

これらは主に身体機能の対するリハビリでした。
一方、双極症を始めとする多くの精神疾患には、症状として認知機能障害があるとも言われています。
「忘れっぽい」「集中できない」「何をどうするんだっけ?」
みたいな経験を持つ方も多いのではないでしょうか?
近年の研究では気分症状が消失した寛解期にも、認知機能障害が見られることが分かってきています。
そこで、今回は上記レベル③までの自宅で行える認知リハビリテーションをお伝えします。
私の経験談も記載しますので、ぜひ。

目次

認知機能障害ってなに?

・記憶力の低下:新しい情報を覚えるのが難しくなる。
・注意力の低下:集中力が続かない。
・判断力の低下:適切な判断ができなくなる。
・実行力の低下:計画を立てて実行するのが難しくなる。

これらの症状により、仕事や日常生活に支障をきたすことがあります。
指示や約束を忘れてしまう、作業に集中できない、複雑な作業をこなすことが難しくなるなどの問題が生じます。

私自身は集中力や実行力が落ちました。だいぶ回復しましたが、恐らくまだ残っているような気がします。
以前は集中できるのは5分もあれば万歳。実行力は頭がパンクして、1回に2つ以上のことはできませんでした。
体力が激しく落ちていたことも原因かもしれません。

認知機能低下のレベル別のリハビリ

現時点では、認知機能障害の改善について、即効性のある確実な方法はありません。
一方、やらないよりはやるほうがいい!と当事者として、作業療法士としての両方で感じます。
体力をつける(身体機能)と認知機能に対するリハビリは同じようには進みません。
立って何かができる体力が出てきたときに、座位で認知機能のリハビリをしたいイメージです。

抑うつから回復途上の脳は身体より疲れやすいことを覚えておきましょう。
精神症状が強い、ほぼ寝たきりのレベルはしっかり休んでほしいので書きません。

座ってできる自宅での認知機能リハビリテーション

寝たきりの状態から意欲が出てきて、空腹や自身の身だしなみなどに興味が出てきます。
意欲はあるものの疲れやすく、動いてはぐったり・・・といったところでしょうか。
このレベルでは寄りかかって座位をとる時間を増やし、最終的には背もたれなし座位を10分ぐらい取れるのが理想。
ただ座っているだけは苦痛なので、何かしながら(リハビリ)座る時間をとりましょう。

・スマホを触る(ゲームなど SNSは好ましくない)
・興味の出てきた動画やTV、雑誌などの鑑賞
・日向ぼっこや好きなものを飲む
・座ってできる作業(日記や塗り絵など、初めて行うものが好ましい)
・歯磨き、着替え、食事など

何をするか?ではなく、座って脳に刺激を入れることが大切です。
疲れてぐったりしても大丈夫。段々と脳や身体が慣れ、座位での作業ができるようになるでしょう。
また、本格的に作業に伴う場合は初めて行うものをお勧めします。あとは形に残るもの。
やったことのあるものは、うつ状態でできないことに直面すると自己肯定感が下がってしまうからです。

私が行っていた座位での認知リハビリテーション

最初は窓際に寄りかかって日向ぼっこをしたり、座ってぼーっとしていました。
段々と座れるようになったら、「パズル塗り絵」を始めました!

不思議と「塗り絵やってみたいな・・・」と思ったのです。早速妻に購入してもらいました。
やっとみると結構疲れます。1色やったら1日分終わり、がほとんどです。
集中力もないし、はみ出ないように塗り方を考える、数字を探して色を塗る・・・。
結構大変ですよね。
ですが、1枚の塗り絵が完成したときはとっても嬉しかったです。達成感や自己肯定感が芽生えました。
次第に1度に塗れる色が多くなり、約1時間楽しんで塗っていることもありました。

終わりに

認知機能障害のリハビリは、難しく考える必要はありません。
「何か作業をしてみて、次第に時間を延ばしてみる」ことが大事です。
気づけば時間が経っていた・・・ こんな感覚がでてきたら、それは十分リハビリが進んでいます。
次のレベルの認知機能障害のリハビリは、別の機会にご紹介できればと思っています。

参考サイト

みんなの双極症/南中さくら,2021,合同出版
認知機能障害について | メディカルノート (medicalnote.jp)
guideline_20181119.pdf (secretariat.ne.jp)
ja (jst.go.jp)

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