双極症(双極性障害)と睡眠:体内時計(概日リズム)との関連性

双極症を持つ方において、睡眠に悩まされている方は多いでしょう。
不眠・仮眠・目が覚めやすい…、人によって様々だと思います。
睡眠薬を服薬される方も多いのではないでしょうか。
しかし、睡眠薬を服用するだけでは、根本的な問題は解決していません。
実際、診断された方の最大8割に睡眠障害が併存しているといわれます。
また、睡眠障害の多くは体内時計(概日リズム)の乱れだそうです。
ここでは、双極症と睡眠の関連性についてお伝えしていきます。

目次

双極症における睡眠障害

とある研究では、

・ノルウェーの研究では、不眠症(40%)だけでなく、過眠症(29%)も高い割合で発見された。
・過眠症の症例は、若年者、双極症Ⅰ型、および処方された抗うつ薬が原因である可能性が有意に高かった。

こちらの研究では、

・うつ状態に伴う不眠や過眠、躁状態に伴う睡眠欲求の減少などの病相に応じた睡眠障害の変動が報告されており、気分変動と睡眠障害に密接な関連があることが示唆されている。
・双極性障害患者とうつ病患者の概日リズム指標を比較した研究報告の多くは,双極性障害患者と概日リズム障害の強い関連性を示唆している。
・寛解期双極性障害とうつ病における概日リズム睡眠・覚醒障害の合併率を比較した研究では,双極性障害における概日リズム睡眠・覚醒障害の合併率は,うつ病における合併率より有意に高かった(33.7% vs 9.6%)。

上記の研究から、概日リズムが双極症と関連性がありそうですね。

双極症と関連のある体内時計(概日リズム)とは?

概日リズムとは、生物が持っている約24時間の周期で繰り返される体内時計のようなものです。
睡眠覚醒のリズムだけでなく、体温、ホルモン分泌、代謝など、身体の様々な機能が概日リズムの影響を受けています。

概日リズムの例

睡眠: 夜になると眠くなり、朝になると自然に目が覚めるのは、概日リズムが働いているからです。
体温: 体温は一日の中で変動し、通常は夜よりも朝の方が少し高めです。
ホルモン分泌: コルチゾール(ストレスホルモン)は朝に多く分泌され、メラトニン(睡眠ホルモン)は夜に多く分泌されます。

概日リズムを整えるためには

とても簡単に説明するのであれば、

規則正しい生活: 毎日同じ時間に寝起きし、規則正しい生活を送ることが大切です。
朝日を浴びる: 朝日に当たることで体内時計がリセットされ、概日リズムが整いやすくなります。
適度な運動: 運動は心身に良い影響を与えるだけでなく、睡眠の質の向上にもつながります。
食事: 規則正しい食事を心がけ、特に夕食は寝る3時間前までに済ませるのが理想です
カフェインやアルコール: カフェインやアルコールは睡眠を妨げる可能性があるため、寝る前は控えましょう。

まとめ

研究から、双極症と体内時計には関係性がありそうです。
睡眠薬を服薬するだけでは、体内時計は整えにくいかもしれませんね。
整えるためには、生活習慣や寝る前の準備などを振り返る必要がありそうです。
次回からは作業療法士の目線で睡眠についてどのように自身で対処していけるのか、詳しくお伝えしていきます。

関連サイト

Sleep problems in bipolar disorders: more than just insomnia – Steinan – 2016 – Acta Psychiatrica Scandinavica – Wiley Online Library
67巻1号/03高江洲

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この記事を書いた人

作業療法士(OT)で双極性障害Ⅱ型当事者。妻と猫の3人暮らし。
最近短時間就労を始める。
作業療法士という医療職として、双極症の知識や個人でも行える作業療法の技術をお伝えできればと思っています。少しでもお役に立てると嬉しいです。

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