そもそも双極症(双極性障害)ってどんな病気?
このコラムは当事者や家族、その他支援者の方々などの読者が多いと思います。
ただ、「双極症(双極性障害)」について完全に理解している方は少ないのではないでしょうか。
当NPO法人の作成したパンフレットと当事者で作業療法士の私としての観点から説明していきます。
双極症ってどんな病気?
私たちがゼミやワークでで参照している『双極性障害の心理教育マニュアル』を監訳したNTT東日本関東病院の秋山剛先生に監修してもらい、作成したパンフレットではこのように説明しています。
双極症は体調や気分が変動する脳の病気です。変動に躁・軽躁が含まれ、うつだけのうつ病とは違う病気です。症状がない時期もあります。
双極症は症状のある状態とない状態を繰り返す病気です。主な症状が2か月以上ない場合を「寛解状態」といいます。寛解状態を長く保ち続けることが「治療目標であり、ゴール」だと個人的に考えています。
Ⅰ型、Ⅱ型の区別ってなに?
躁状態とは
上記はDSM-5 に書かれた躁・軽躁状態における診断基準です。画像に示している基準に当てはまれば躁・軽躁とみなされます。また、基準に当てはまるかどうか微妙な「グレーゾーン」があるのも事実です。簡単な説明で区別するには、
・Ⅰ型:入院が必要になるほど重症な躁エピソード
・Ⅱ型:入院が必要ではないぐらいの軽躁エピソード
うつ状態とは?
DSM-5による診断基準は画像の通り。
疑問:Ⅰ型のほうが症状が重いって本当?
巷では症状が「Ⅰ型が重い」「Ⅱ型が軽い」といった認識の方が多いと思いますが、間違いです。
Ⅰ型は躁状態の割合が多いがうつの期間は躁の3倍。社会的な地位が失いやすい。生活上の著明な機能障害を伴う。
Ⅱ型は圧倒的にうつ病相が長い。身体や気持ちが辛いことが多く、社会参加が厳しい。生活上の著明な機能障害を伴わない。
よって、一概に何型が重い・軽いはありません。どの型でも辛いのは変わらないのです。
また、Ⅰ型・Ⅱ型ともに半分ぐらいは症状のない「寛解状態」があります。
症状がない期間は普通の人と全く変わりません。悲観する必要はありませんよ。
もし、何型が気になるようであれば主治医に相談してみてください。
個人的にはⅠ型・Ⅱ型を知ることに固執する必要はないかな、と思っています。
混合状態ってなに?
双極症では、典型的な躁・軽躁/抑うつエピソードのほかに「混合状態」があります。
混合状態とは、躁・軽躁/抑うつエピソードの各症状が併存する状態。
躁状態:気分・行動・思考が一致して上昇する。
抑うつ状態:気分・行動・思考が一致して低下。
混合状態:気分・行動・思考の一部が上昇、一部が低下。
混合状態の例として
・不機嫌さの目立つ躁状態
・焦りや怒りやすさがみられる抑うつ状態
が挙げられるよ。
まとめ
双極症という病気を知ることが治療の第一歩です。
改めて病気を学び、今後の治療の参考にしてみてください。
パンフレットは下記参考サイトからアクセスしてください。
参考サイト
・ネット心理教育 A4パンフレットOL 01のコピー
・guideline_sokyoku2023.pdf