双極症におけるうつ状態でのストレスサイン理解

双極症(双極性障害)の治療において、ストレスをコントロールすることは、再発防止に必要な1つです。
双極症の方はストレス、特に人間関係から生じることがきっかけで調子を崩し、うつ状態や躁状態に陥ることがあります。良いことも悪いこともストレスになるため、早めに気づくことが大切です。
人によってストレスの感じ方は異なりますが、一般的にはどのようなことがストレスになりやすいのでしょうか。

目次

良いこともストレスになる?

一見、ストレスはネガティブなものを想像しますが、良いこともストレスになり得ます。例えば、

・ポジティブな内容:妊娠、結婚、昇進、進学など
・ネガティブな内容:災害、死別

ネガティブな内容でのうつ状態は想像しやすい一方、躁状態に転じることはよくあります。
ポジティブな内容でも、ネガティブな内容でも、何か「変化」があったときには、新たに躁状態やうつ状態が起こらないように意識して過ごしましょう

「~しなければならない」は自分を苦しめる

うつ・躁状態になる前を振り返ってみると、

・「あれもこれもやらなければならない」と考えて優先順位がつかず、無理なプランを立てる
・自分がやらねばならない」という意識が強すぎて、「一人で抱え込む」
・困難やつらい体験を乗り越えようと頑張りすぎる

などの思考を持っていた方が多いのではないでしょうか。
これは双極症の方が陥りやすいストレスパターンで、自身では「当たり前」と思っている方がほとんどです。
双極症と付き合うための大切なポイントは以下の通りです。

・「~しなければならない」といった完璧を目指さない
・物事に優先順位をつける
・自分ひとりで問題を抱え込まず身近な人に相談すること

ストレスの種類って何がある?

ストレスと一言で言っても、色々なことがストレスになり得るという話をしてきました。
「何となく普段よりもおかしい状態」をストレスと考えると、再発の兆しに敏感になるでしょう。
ここからは簡単に、うつ状態のストレスの種類について解説していきます。

1.身体的なサイン

睡眠の変化:睡眠時間の増減や、眠りが浅くなる、逆に過眠になるなどの変化。
食欲の変化:食欲不振や過食、体重の急激な増減。
疲労感:十分な休息を取っても疲れが取れない、常に倦怠感を感じる。
身体の痛み:頭痛、筋肉痛、胃痛など、明確な原因がない身体の不調。

うつ状態は「気分が落ちる」イメージを持ちがちですが、身体的サインといった「悲哀のないうつ状態」もあるので、注意が必要です。

2.精神的なサイン

・気分の不安定:些細なことでイライラする、悲しみや不安感が増す。
集中力の低下:仕事や日常の作業に集中できない、ミスが増える。
興味・関心の喪失:以前楽しんでいた活動や趣味への意欲がなくなる。
自信の喪失:自己評価が低くなり、無力感や罪悪感を抱く。

3.行動的なサイン

社会的活動の変化:人付き合いを避けるようになる、孤立しがちになる。
・仕事や学業への影響:遅刻や欠勤が増える、業績や成績の低下。
・リスクの高い行動:衝動的な買い物やギャンブル、過度の飲酒や薬物使用。
・日常生活の乱れ:生活リズムが崩れる、部屋の片付けができなくなる。

まとめ

ストレスはうつ状態や躁状態に転じる「きっかけ」となるため、早期発見・対処が必要です。
そのためには、自身がどのようなストレスを感じやすいか事前に把握しておくのをオススメします。
これらのサインを早期に察知し、適切な対処を行うことで、症状の悪化を防ぐことができます。
定期的な自身でのストレスチェックや、身近な方や医療・心理職への相談やストレスサインの共有を心がけましょう。

参考サイト

双極性障害(躁うつ病)とつきあうために
ネット心理教育 A4パンフレットOL 01のコピー
双極性障害 – 医療法人秀山会 白峰クリニック

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この記事を書いた人

作業療法士(OT)で双極性障害Ⅱ型当事者。妻と猫の3人暮らし。
最近短時間就労を始める。
作業療法士という医療職として、双極症の知識や個人でも行える作業療法の技術をお伝えできればと思っています。少しでもお役に立てると嬉しいです。

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