双極症患者が気分の波を管理するための習慣化テクニック

双極症では、躁状態とうつ状態の気分の波があるのが特徴的です。
あなたは、躁・うつ状態といった気分の波を自ら把握することができていますか?
これらの波を早期に察知して適切な対応を取ることが、寛解状態を保ったり、症状の軽減につながります。
気分や行動の変化を早い段階で客観的に把握できれば、再発予防や症状の悪化防止につなげるでしょう。
今回は、気分の波を管理するための習慣化テクニックをお伝えしていきます。

なぜ、気分の波を把握することが重要なのか

症状の悪化を防ぐためには、早期に躁・うつ症状の「きざし」を捉えることが必要です。
上記のように、躁の波が大きくなるほど反動は大きくなり、重いうつ状態に陥ることが多いです。
場合によっては入院治療など大掛かりになり、安定させるまでに多くの時間を要します。

一方、波の始まる早い段階で対処できれば、睡眠時間の調整といった日常生活の工夫などの対応で早く安定します。
早い段階で対処するためにも、普段から気分の波を把握しておくことは重要なのです。

普段から観察する項目

以下の項目を日々記録することで、気分の変動や兆候を把握しやすくなります。

  • 気分の状態気分を-2から+2(-2が重いうつ、-1が軽いうつ、0が通常気分、+1が軽躁、+2が躁)のスケールで評価し、数値化します。できれば朝と寝る前の2回が望ましいです。これにより、気分の変動を客観的に確認できます。
  • 睡眠時間就寝時間と起床時間を記録し、睡眠パターンの変化を把握します。人によっては、睡眠時間が増加するとうつの傾向、低下すると躁の傾向といったことが把握しやすくなります。
  • 活動内容日中の主な活動やその満足度を記録します。これにより、活動量と気分の関連性を見つけることができます。
  • 服薬状況飲み忘れがないか記録し、生活習慣との関連性を確認します。

手帳やアプリを用いてもよいでしょう。私はデジタル認知行動療法アプリ Awarefy(アウェアファイ)を利用しています。無料でも利用できるのでオススメです。


ちなみに、ネット心理教育では睡眠・覚醒リズム表を用いて気分の波を観察することを推奨しています。
上記の内容が1枚で客観的に把握できる内容となっています。
毎月オンラインzoomを用いたワーク、「生活習慣を整えよう」のなかで使い方を実践方法を解説していますので、ぜひ参加していただければと思います。
コラムでもご紹介していますので、詳しく知りたい方はご覧ください。

書いた記録は支援者や主治医と共有する

観察内容を支援者や主治医と共有することで、客観的な視点からのフィードバックを得ることができます。
自身は通常気分だと思っていても、支援者や主治医から見れば「躁・うつっぽい」ということもあります。
なぜ自分は通常だと思うのか、きちんとした理由を説明するためにも記録を共有することは大切です。
また、支援者や主治医が「躁・うつっぽい」といったら素直に受け止めることも重要です。
客観的な視点は自身が感じているより的確で、今後の社会的損失を防ぐためにも聞く耳を持つようにしてください。

継続するための工夫

気分の波を把握するには、【長時間継続すること】が非常に重要です。以下の工夫を行ってみましょう。
記録の時間を固定する:毎日同じ時間に記録することで、習慣化しやすくなります。
無理のない範囲で始める:最初から完璧を目指さず、続けやすい範囲で始めることが大切です。
続けられた自分を褒める:記録を続けられた自分を褒めるなど、自己肯定感を高める工夫をします。ご褒美を作るのもいいでしょう。

まとめ

気分の波を早期に把握することは、躁やうつ症状を軽減し、寛解状態を長期間保つことにつながります。
ちょっとしたことでも、【これは怪しい】と対処することができれば、苦しさも軽減するでしょう。
そのためには記録や観察の継続が必要です。無理のない範囲で取り組んでみましょう。

参考サイト

双極症(双極性障害)のリハビリテーション:家族・身近な人が治療に関わるメリット – ネット心理教育ピアサポート~双極症の総合情報サイト~
双極性障害の方が活躍できる働き方とは?仕事が長続きするコツを徹底解説|ココピアキャリア|障害者の就職・転職支援サービス


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この記事を書いた人

作業療法士(OT)で双極性障害Ⅱ型当事者。妻と猫の3人暮らし。
最近短時間就労を始める。
作業療法士という医療職として、双極症の知識や個人でも行える作業療法の技術をお伝えできればと思っています。少しでもお役に立てると嬉しいです。