通院のパラドックス「 通院日に限って調子が悪くて通院できないのはなぜ?」

精神疾患で自宅療養をしていると、通院日だけ調子が悪くなるというのはよくあることです。
「本来は体調の悪い人のためにある医療機関に、体調が悪いために行けない。」これが通院のパラドックスです。
これはあなたが弱いとか、やる気がないとかではなく、いくつかの心理的・身体的な要因が関係しています。通院日だけ調子が悪くなる原因と対処方法を考えてみましょう。
目次
【理由1】ストレス反応(予期不安)
通院日は、普段よりも「待ち時間がすごく長いんじゃないかな」「うまく話せるかな」「医師にわかってもらえるかな」など、無意識のうちに不安が高まりやすい日です。この予期不安により、自律神経が乱れたり、抑うつや過覚醒の症状が強く出たりすることがあります。
対策
- 前日に通院内容をメモやアプリにまとめておく
- 待ち時間に何をして「遊ぶ」かを事前に考えておく
- 以下のことを確認しておくと安心につながります
- 「お薬だけください」(小声で)で対応してもらえるか
- 予約した時間に遅刻しても良いか
- オンライン診療は可能か(小声で)
- 予約なしでも受診してもらえるか
- 待ち時間に体調が悪くなったとき、横になったり、別室などが利用できるか
- 通院後の「ご褒美タイム」(好きな飲み物や静かな時間)を予定しておく
- 医師に「通院前になると調子が悪くなる」と伝え、相談してみる
【理由2】生活リズムとのギャップ
自宅療養中は、体内時計や生活リズムが乱れがちです。通院日は普段の生活サイクルとは大きく異なることが多いでしょう。「早起き」「外出」「移動」「他人との接触」など、普段より負荷が大きいです。それが体調悪化の引き金になることも。
対策
- 通院前日のスケジュールを軽く整える(起床時間だけでも)
- 通院前に5〜10分のストレッチや深呼吸などで身体をゆっくり起こす
- 通院時間を可能なら午後などに調整する
- 予約時間に間に合うタイムリミットを過ぎてしまったら、あっさりあきらめ、医療機関に相談する
【理由3】「ちゃんとしなきゃ」思考によるプレッシャー
「ちゃんと話さなきゃ」「ちゃんとした格好しなきゃ」など、自己要求が高まることで、精神的エネルギーが消耗しやすくなります。
対策
- 最低限の身支度だけでOKと自分に許可を出す:普段の衣服、身だしなみのほうが、医師の診断に役立つことも
- 「話す内容がまとまってなくても大丈夫」と前もって自分に言い聞かせる
- 事前にメモを書いておくと話し忘れが防げます
- メモを見て話すのではなく、メモを医師に渡してしまうとしゃべらなくていいので楽
- 医師にも「調子が悪くて話せない時もある」と伝えておくと、次回以降も楽になります
【補足】通院のパラドックスは自然な反応
「通院日に調子が悪くなる」ことは、あなたのせいではなく自然な反応なので、責めずに、小さな工夫で少しずつ楽になる方法を一緒に探せますよ。
無理せず、頑張りすぎず、自責せず、テクニックをフル活用して通院日を乗り切りましょう!☺
筆者はこのコラムを書いていて、改めて通院って大変なことなんだなあ、と感じました。
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