「社会とのつながりがもたらす安心感 〜双極症の当事者として〜」


双極症の当事者で作業療法士のおとです。
今回は、「社会とのつながりがもたらす安心感」について、自分の体験も交えながらお話ししたいと思います。
双極症と診断され、重度のうつ状態で動けなかった私は多くの不安に包まれていました。
気分が安定しないなかで、これからどう生きていけばいいのか、自信を失いかけていた時期もあります。
そんなとき、少しずつ見えてきたのが「社会とのつながりの大切さ」でした。
働くことがすべてではない
「社会とつながる」というと、多くの人がまず「働くこと」を思い浮かべるかもしれません。
たしかに、仕事を通じて人と関わることも一つのつながりです。私自身も、作業療法士として働いている中で、支えになる人間関係を築いてきました。
でも、大事なことは「働けているかどうか」ではありません。
大切なのは、「誰かとつながっている」と実感できることです。
たとえば、
こういった関係も、れっきとした「社会とのつながり」です。
私が感じた安心感


双極症と診断されたあとの私は、外の世界とのつながりを持つことに強い不安を感じていました。
人と関わることが怖くて外出ができない。妻と過ごしたり、ひとりで過ごす時間が多くなっていました。
そんな中、SNSで双極症の方々と交流したり、私自身が情報を発信したり、同じような経験を持つ方の投稿を読んだりすることが、少しずつ心の支えになっていきました。
作業療法士としての知識や実体験が皆さんの役に立てていたり、共感されている場があることがうれしかったです。
これらのことは「ひとりじゃない」と感じさせてくれました。
また、私にとって大きな存在となったのが、猫との暮らしです。
猫は自由です。好きな時に寝て、食べて、甘えて、また寝る。
自由に日々を過ごす姿に癒されると同時に、「こんな生き方ができれば楽だよなぁ」と羨ましいと感じていました。
猫の存在が私のこれまでの生き方を変えるきっかけになり、安心感に包まれる瞬間が増えていったのです。
こうした日常のなかの小さな「つながり」が、私の心の安定につながっています。
社会とつながることは、自分を守ること
人と関わることは、ときに疲れることもあります。無理をしてまでつながる必要はありません。
でも、自分が安心して関われる人や場所がひとつでもあると、心がホッとするものです。
社会とつながることは、誰かのためにすることではなく、自分を守るための手段でもあるのです。
ただ、1つの場所、1人だけに繋がることはリスクです。複数の社会との繋がりを持ちたいですね。
最後に
双極症と共に生きていくことは、決して簡単な道ではありません。
でも、「自分にはつながれる社会がある」と感じられることは、回復の大きな力になります。
働いているかどうかに関わらず、誰かとつながっていることで、安心感を持って生きていける。
その実感を、私は今、少しずつ深めながら暮らしています。
今回はここまでです。ぜひ、社会とのつながりを持ってみてくださいね。
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