【”頑張らない”って、どういうこと？】 双極症当事者の作業療法士が考えてみる

皆さんは、【頑張らない】ことを【頑張る】ってできますか？
主治医や周囲から言われた方も多いのではないでしょうか。
頭では分かっているけど、実行するのは難しいですよね…

双極症を持つ方にとって、【頑張りすぎること】はいい面も悪い面もあります。
私も永遠の課題である、「頑張らない」とはどういうことか、考えてみたいと思います。

「頑張る」って、どういう状態？

私が考える「頑張る」とは、何事もコツコツ真面目に取り組むこと。
辞書を引いてみると、

1. 困難にめげないで我慢してやり抜く。「一致団結して—・る」
2.自分の考え・意志をどこまでも通そうとする。我(が)を張る。「—・って自説を譲らない」
3.ある場所を占めて動かないでいる。「入り口に警備員が—・っているので入れない」
出典：デジタル大辞泉

しかし、厄介なのは、自分が【頑張っていることに気づけない】という点です。

「頑張らない」は、サボっていると思ってしまう

以前までの私の【頑張らない】という認識は、以下の通り。

・サボっている
・不真面目にダラダラとやる
・完璧に物事をやらない

「頑張ってる自分」に今も気づけない

私は【頑張っている】ことに気づくことが難しいです。
これは双極症と診断されている現在もよくわかりません。
【頑張っている】という認識はなく、私にとって【当たり前】なのです。
周囲や妻から客観的に観て「頑張りすぎ」と言われたとします。

結局、体調を崩して気づくという悪循環に陥っています。
【頑張っている】ことが分かったら苦労しない。
ほかの人はどうやって【頑張っている】自分に気づくのだろうか。
いつも疑問に思っています。

「頑張らない」は、何もしないことじゃない

先述した通り、【頑張らない】ことはよくわかりません。
でも、【何もしない】ことではなく、
今の自分にとって無理のない選択をすることだと感じています。
例えば、

・家の掃除が終わらなかった→何か所かできた
・休職した→よく頑張った、人生の中休み。
・収入が減った→焦る気持ちはある。でも、休むほうが先。
・味付けがうまくできなかった→作れただけ偉い！

双極症の気分の安定のためには【頑張らないこと】だと思う

双極症には、気分が高ぶる時期（躁）と落ち込む時期（うつ）があります。

・躁状態：頑張る過ぎると過集中気味に。睡眠時間が短くなりやすい。
　　　　　あえて休むように努力する。
・うつ状態：【頑張るとき】と【頑張らないとき】の振り分けをしっかりする。
　　　　　　無理をすると気分が落ちた時に、かえって自分を責めてしまう。

「頑張らない」ことは、あなたの気分の波を整えるための大切な予防策です。

おわりに　完璧に頑張らないのは難しい

私は意識して休む時間を取り、【頑張らない】ようにしています。
それでもやっぱり難しいですね。
夜になると【疲れた。頑張りすぎた？？】と思う日がほとんどです。
【頑張る】ことが普通として生きてきた28年。
考えを変えることは並大抵のことではないと実感しています。

ただ、【頑張らない】自分を褒めることがとても大切だと思いました。
自分の健康が一番です。それより大切なものはありません。
【頑張らないこと】ができるようになり、もっと生きやすくなるといいなと思います。
このコラムが、誰かのお役に立てますように…。

ゼミなどのお休みのお知らせ

2025年7月〜9月の期間、ネット心理教育のゼミ・ワーク・輪読会をお休みさせていただきます。
布団ちゃんの博士論文の提出期限や、学会発表のタイミングが重なり、致し方なく涙を飲んだ結果です。
楽しみにしてくれていた方には、大変申し訳なく思っております。
とにかく頑張ってこの時期を乗り越えます。

NPO法人ネット心理教育ピアサポート　一同　(まどっち・布団ちゃん)