ISBD2025「ウーマン・イニシアチブ」パネルに登壇報告

布団ちゃん

こんにちは。ネット心理の布団ちゃんこと木野内南です。
私は認定専門公認心理師、社会福祉士、そして双極症の当事者です。

なんと2025年の国際双極症学会(ISBD: International Society for Bipolar Disorders)は、日本開催!

行くしかない。

ということで、2025年9月19日、幕張メッセで行われた国際双極症学会(ISBD: International Society for Bipolar Disorders)にて、当法人の副理事長である木野内南が、2つのセッションに登壇させていただいたことの報告です。

私はExperts by Experience、つまり双極症の当事者であり、なおかつ専門職(公認心理師・社会福祉士・博士課程の大学院生)としてのお話をする機会をいただきました。

今日はそのうちのひとつ、「ウーマン・イニシアチブ」についての報告をいたします!

目次

ISBD2025「ウーマン・イニシアチブ」パネルに登壇!

「ウーマン・イニシアチブ」は双極症について取り組む or 双極症を持つ当事者や研究者、臨床家が「女性と双極症」にまつわる課題や経験を共有する場で、海外の先生方と一緒に議論できた貴重な機会でした。

パネルはインタビュー形式で進められ、木野内はいくつかの質問に答える形でお話しました。ここでは、その一部を紹介します。


「双極症の歩み」について

私は臨床心理学の修士課程(大学院)の途中で双極症と診断されました。

入学当時までは、もちろん臨床心理学全般には興味があって大学院に入ったわけですが、正直に言って双極症にほとんど関心がなく「自分には一生関係ない」とさえも思っていました(すみません)。
でもその後、自分自身が診断を受けたことは、現在までの研究や活動の大きなモチベーションになりました。

大きな声では言えないけれど、個人的には少〜〜〜しだけ気分が上がることは、新しいチャレンジの後押しとなることもあると思っています(もちろん軽躁状態や躁状態はトラブルの元だから、それをオススメ! とは全然言えないです)。

なんだかんだ言って、私の場合は少しだけ気分が上がったことによって、これまでの人生がうまくいってきたように思っています。社会福祉士や公認心理師の資格を取得し、修士課程(大学院の前半)を終えて、現在は博士課程で研究を続けています。


「研究と博士課程」について

博士課程に進んだのは、きちんとした研究が出来るようになりたかったからです。

私たちが行っているネット心理教育の活動の効果を「根拠はないけど、何となくいいかも」的な「民間療法」で終わらせたくないです。

私たちの提供する心理教育プログラムは、きちんとエビデンス(科学的根拠)に基づくものにしていきたいと考えたから、博士号を取得して、研究を主催していく(スタート時点の力)が必要だと思ったのです。

現在は医学系研究科の精神医学分野に所属し、研究を進めています。修了予定は来年3月です。


「NPO活動」について

ネット心理教育は、薬剤師であり双極症の当事者でもあるまどっちさんと布団ちゃんとで、オンライン心理教育の活動を始めました。

開始当初はライブ配信で視聴者さんからのコメントに答える形式で、それで「双方向性がある」なんて考えていましたが、そのうち限界に気づきました。

その結果、Zoomでのレクチャーやグループワークの形に至っています。

活動の中では「うつで本が読めない」「ネットには誤情報が多い」「医師や薬剤師に質問しづらい」「社会資源を誰も教えてくれない」そんな声をたくさんいただきました。

グループワークでは孤独を感じていた人が「自分以外にも双極症の人がいる」と実感でき、安心感につながっていると思います。こうした声をきっかけに、私はこの活動に一生取り組みたい、つまりライフワークにしていきたいと思うようになりました。


「今後の目標」について

今回のISBD2025が、私にとって人生で初めての国際学会の参加でした。

参加して強く感じたのは、「私の英語はそこまで悪くないべ」ということです。

だからこれからも国際学会への参加や英語論文の執筆に挑戦し、双極症の研究と実践を国内外につなげていきたいと考えています。


おわりに

今回のウーマン・イニシアチブのパネルは、自分の歩みと研究・活動がどうつながっているかを改めて振り返る良い機会となりました。会場でお話を聞いてくださった皆さま、そして一緒に登壇した先生方、本当にありがとうございました。

写真

左から

登壇者:Manpreet Kaur Singh (University of California)
翻訳:Shinichi Nagata (筑波大学)
登壇者:Minami Kinouchi (名古屋大学、NPO法人ネット心理教育ピアサポート)
座長:Crystal T Clark (University of Toronto)
座長:Georgina Hosang (Queen Mary University of London)

運営団体

NPO法人ネット心理教育ピアサポート

双極症や他の精神疾患をもつ当事者・ご家族に向けて、オンラインでの情報提供や心理教育を行っています。

公式サイト:https://shinrikyoiku.com/

YouTube:https://www.youtube.com/@shinrikyoiku

X:https://x.com/shinrikyoiku

注意事項

本コラムは、双極症に関する経験や知識をもとに執筆されたものであり、すべての方に当てはまる内容ではありません。個別の診断や治療については、必ず主治医等の専門家とご相談ください。

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この記事を書いた人

NPO法人。ネット心理教育では、双極性障害の知識や治療法の情報をYouTube動画とZoomのグループワークで広めています。心理教育とは、病気や治療に関する知識を身につけ『生きる力』にするための心理療法の一つです。

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