双極性障害(双極症)の作業療法:精神疾患のリハビリって何をする?

双極症Ⅱ型当事者、作業療法士のおとです。

皆さんは病院やその他の場所で「リハビリ」を受けたことはありますか?
世間一般的なイメージだと、
・マッサージやストレッチ
・筋トレや歩行訓練
・アスリートが競技復帰するためにやるもの

確かに、身体領域のリハビリでは上記のものを行いますし、主に理学療法士(PT)が担当します。
精神疾患では主に作業療法士がリハビリを担当し、皆さんのイメージとは違うものを行います。
では、精神疾患のリハビリとは何か? をご紹介していきます。

目次

精神疾患のリハビリとは?

精神疾患の作業療法では、患者さんや地域で暮らす方々の日常生活や社会生活をより良く送れるように支援するために、
様々な活動やプログラムが行われます。

主な活動やプログラム

  1. 日常生活のスキル向上: 着替えや食事、入浴など、日常生活に必要なスキルを向上させるための訓練を行います。
  2. 対人関係の練習: 他者とのコミュニケーションや対人関係のスキルを向上させるためのグループ活動や共同作業を行います。
  3. ストレス管理とリラクゼーション: ストレッチやマインドフルネス、アロマセラピーなどを通じて、ストレスを軽減し、リラクゼーションを促進します。
  4. 趣味や興味の追求: 手工芸や園芸、音楽、スポーツなど、患者さんの趣味や興味に合わせた活動を通じて、自己肯定感や自信を取り戻す支援を行います。
  5. 社会復帰の準備: 退院後の生活に向けて、生活リズムを整えたり、社会生活に必要なスキルを身につけるためのプログラムを提供します。

これらの活動を通じて、患者さんが自分らしい生活を送れるように支援することが、精神疾患の作業療法の目的です。

どんな精神疾患の方が対象になる?

精神科で作業療法士が関わる患者さんには、いくつかの特徴があります。
主に以下のような精神疾患を持つ患者さんが対象になります。

  1. 統合失調症: 統合失調症は、若い人に多く見られる疾患で、幻覚や妄想、不安などの症状が特徴です。患者さんは社会生活や日常生活に困難を抱えることが多く、作業療法を通じて自信や社会的スキルを取り戻す支援が行われます。
  2. うつ病: うつ病は、20代から50代の幅広い年齢層に見られる疾患で、気分の落ち込みや興味の喪失、疲労感などが特徴です。作業療法では、日常生活のリズムを整えたり、ストレス管理の方法を学んだりする支援が行われます。
  3. 双極性障害(双極症): 双極性障害は、気分の高揚と落ち込みが交互に現れる疾患です。作業療法では、安定した生活リズムを維持するための支援が行われます。
  4. 神経症や不安障害: 神経症や不安障害は、過度な不安や恐怖を感じる疾患です。作業療法では、リラクゼーション技術や対人関係のスキルを向上させる支援が行われます。
  5. 依存症(薬物・アルコール): 依存症は、薬物やアルコールに対する依存が特徴です。作業療法では、健康的な生活習慣を取り戻すための支援が行われます。

これらの患者さんに対して、作業療法士は個別のニーズに応じた支援を提供し、患者さんがより良い生活を送れるようサポートします。

精神疾患に対するリハビリの目的

精神疾患における作業療法の目的は、患者さんが日常生活や社会生活をより良く送れるように支援することです。

  1. 精神機能の改善: 作業活動を通じて、患者さんの精神機能を向上させることを目指します。これには、集中力や記憶力、問題解決能力の向上が含まれます。
  2. 対人関係能力の向上: 他者との関わりを通じて、コミュニケーション能力や対人関係のスキルを向上させることを目指します。グループ活動や共同作業を通じて、社会的なスキルを磨くことができます。
  3. 自己管理能力の向上: 日常生活のスキルや自己管理能力を向上させることを目指します。これには、時間管理やストレス管理、生活リズムの整え方などが含まれます。
  4. 自信と自己肯定感の回復: 作業活動を通じて、患者さんが自分の能力を再確認し、自信や自己肯定感を取り戻すことを支援します。成功体験を積むことで、自己評価が向上します。
  5. ストレス軽減: 作業活動に集中することで、ストレスや不安を軽減する効果があります。リラックスできる環境を提供し、心の安定を図ります。

これらの目的を達成するために、作業療法士は患者さん一人ひとりに合わせたプログラムを提供し、じっくりと向き合いながら支援を提供していきます。

まとめ

精神疾患のリハビリをお伝えしてきました。
リハビリを受けることは症状安定のためにオススメです。
興味のある方は医師に相談してみてください。
一方、やみくもにリハビリを行ったからと言って、100%良くなるわけではありません。
リハビリを受ける時間は1日のなかでもほんのわずか。
経験上、どんなにリハビリを行っても、普段の生活が崩れていたり、病識が乏しい場合は良くなりません。
作業療法士が知識や技術をフル活用しても、効果は一時的。
普段の生活の仕方が症状に影響してくるのは言うまでもありません。
リハビリや自身の学びを通して病識を持つことが、リハビリの第一歩と言えるでしょう。
ネット心理教育を受けることも、病識を持ったり、リハビリになると思いますよ。

少しでも参考になれば嬉しいです。

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