双極性障害(双極症)のリハビリ:うつ状態の自宅で行うリハビリ②

双極症Ⅱ型当事者、作業療法士のおとです。
前回はうつ状態の自宅で行うリハビリ①を書きました。
・自身では何もできない、寝たきり状態でのリハビリ
・精神症状が少し改善し、家の活動ができるようになった段階のリハビリ

といったものをご紹介してきました。
今回は第2弾です。

目次

レベル③精神症状がさらに改善し、家での活動+αのリハビリ

精神症状がさらに改善しているといっても、抑うつは残っている状態です。
倦怠感・疲労感・頭痛・意欲や食欲の低下など、様々な症状があるでしょう。
服薬の種類や量も定まってきて、一番厳しい時期からは抜けた段階です。
ですが油断禁物です。この時/は焦ってしまうことが多いです。
自身の病気を段々と受容し、活動をしていく必要があります。

①服薬は指示通り必ず行う

少しずつ良くなってきて、「あれ?段々治っている?」と思いがち。
処方された薬は、必ず指示通り飲みましょう。
飲み忘れたり、勝手に飲み方を変えたり、副作用が強い場合は正直に医師に話してください。
医療職としては、「きちんと飲んでいる前提」で治療を提供しています。
治療計画が崩れ、治療者自身に悪影響がでる可能性があります。注意してください。

②生活リズムを整え、振り返る

どの段階でも生活リズムを整えることは大事。
・どうして夜寝られないのか、朝起きられないのか
・なぜお腹が空かないのか
など、色々な問題を解決するために考える必要があるでしょう。
睡眠覚醒リズム表や、気分の記録をつけ、1日の行動を振り返ってみましょう。
きっと、乱れている理由が見つかると思います。
医師や支援者などと共有することをオススメします。

③日常生活動作をできる範囲で行う

日常生活動作(以下ADL)は、食事・整容・トイレ・更衣・入浴を指します。
できることなら、「整容」「更衣」を毎日行ってほしいです。
整容」は歯磨きや洗顔、爪切りなどの身だしなみ。
寝たきりの状態では脳がさほど働いていないのは想像できるでしょう。
そこで水の冷たさやブラッシングの音など、刺激を感じると脳が活発に働きます。
「気持ちいい」「綺麗になった」と思えるといい傾向です。

また、更衣も行うことで、日中・夜間の気分のメリハリが出ると思います。
どうしてもパジャマで1日生活していると、気持ちもだらけてしまいます。
意外と体力が必要な動作で、最初は疲れてしまうと思いますが、段々と慣れていきましょう。

④立っている時間を増やす

座位でいる時間が増えてきたら、次は立って活動してみましょう。
例えば、トイレに行ったついでに水分をとる。歯磨きを立ったまま行う。
軽いストレッチや伸びをしてもいいでしょう。
最初は少し立つだけでも疲労感が強く、横になってしまうと思います。それだけ体力が落ちている証拠です。
休みながらでいいのです。ぼちぼちやっていきましょう。


体力がついてくると、自然と立位での作業に興味が出始めます。
「ちょっとした片付け」「お皿洗い」などなど・・・。
自然とトイレ・歯磨き・更衣・服の準備などの一連動作が立ったままできるようになるでしょう。
最初の動作を意識するだけで、自然と体力はつくものです。

まとめ

「うつ状態のリハビリってこんなに段階づけるの?」と思われる方もいるでしょう。
正直、細かすぎるぐらい段階別に分けていますが、私はこれが必要だと思います。
なぜなら、いきなり高くジャンプしても受け皿はなく、落とし穴に落ちるからです。自己肯定感がなくなります。
焦る気持ちはよくわかります。実際に私もそうでした。
ですが、当事者として経験して改めて、段階づけてリハビリを提供する大切さを実感しました。
ゆっくりぐらいがいいのです。その方が経過が良くなることが多いです。
次回はいよいよ、外に出てみたいと思った頃のリハビリです。お楽しみに。

参考サイト

みんなの双極症/南中さくら,2021,合同出版

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この記事を書いた人

作業療法士(OT)で双極性障害Ⅱ型当事者。妻と猫の3人暮らし。
最近短時間就労を始める。
作業療法士という医療職として、双極症の知識や個人でも行える作業療法の技術をお伝えできればと思っています。少しでもお役に立てると嬉しいです。

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