双極症(双極性障害)のリハビリ:自身で行える社会参加へ向けた軽めのリハビリ

双極症Ⅱ型当事者、作業療法士のおとです。
今回はうつ状態の自宅で行えるリハビリ②の続きです。
南中さくら先生著 みんなの双極症p.117の文言をお借りすると、
「抑うつ症状は残るものの、家の外での活動に関心が出てくる」 といった段階です。
ここでは「外へ出たい、興味が出てきた!と思った際のリハビリ」ということにします。

目次

社会復帰ではなく、社会参加を目指す

皆さんは「社会復帰」するために治療、リハビリをしましょうと言われている方もいるでしょう。
「社会復帰」=仕事に戻る・新しい仕事に就く と考える方がほとんどかもしれません。
ただ、「社会復帰」という言葉は、当事者にとっては重いことばだと思うのです。
ですので、私は「社会参加」を目標に治療やリハビリをしてほしいのです。
「復帰」と「参加」の違いはなんでしょうか?

「復帰」:もとの位置・状態などに戻ること。「病気が全快して職場に—する」
「参加」:ある目的をもつ集まりに一員として加わり、行動をともにすること。「討論に—する」「—者」

我々精神疾患当事者をはじめ、人は何かから「元通り」になる必要はありません。それではつまらない。
本当に「仕事に就く」ことすべてが社会復帰のゴールと言えるのでしょうか?
家の中、外問わず、人には役割があります。「何か参加することで自己肯定感が生まれる」と考えています。

外に出たい!と思ったときに自身でできるリハビリ

「社会参加」や「役割」は外に出た時のほうが感じやすい、と個人的に考えています。
ある程度抑うつや躁状態から改善してくると、「外に出たい!」という気持ちが出てくるはずです。
いきなりジャンプアップすると、その分跳ね返りがあるもの。焦らずリハビリをしていきましょう。
ここでは、一例をご紹介していきます。

①室内での体力づくり

簡単なストレッチ・身の回りの整理・階段や踏み台昇降・ラジオ体操など、運動習慣を作りましょう。
外に出るのは体力勝負。休む場所や落ち着く場所が少ないのが現状。
少しの片づけや家事を続けることで、自然と体力がついてくるでしょう。

②通院ついでにどこかによる

多くの方が月1回以上のペースで外来受診されていると思います。
つまり、通院=外出です。外出ついでに買い物や自身へのご褒美はいかがでしょうか。
「自分がしたいと思うもの」を何か1つしてみましょう。
「したい」という意欲は立派な「目的をもつ役割」で「社会参加」です。行動できるとなおかつ素晴らしい。
ウインドウショッピングや実際の買い物は脳への刺激にもぴったり。これも「役割」と言えそうですね。
「できた!」という気持ちが自己肯定感や体力向上に繋がりますよ。

③趣味や散歩などの時間を取り入れる

わずかな時間でいいので、趣味や散歩の時間を作ってみましょう。
「何かやろうかな」「散歩でもいってみるか」と最初は目的がなくていいのです。
やり始めると「楽しいな」「外は寒い、だけど太陽は暖かいな」など、何かしら感じることがあるでしょう。
些細なことが繋がっていくと、自然と「次はこうしてみよう」「ここまで行ってみようかな」といった目的につながるのです。
日常生活動作をはじめ、個々が行っているもののほとんどに「目的」が生まれ、自然と「社会参加」になるのです。

まとめ

家の中・外問わず、個々で行っているもののほとんどが「社会参加」です。
無理に「社会復帰」しなくていいのです。
社会参加、すなわち「目的や役割」を持って遂行するには体力が必要です。
「外に出たい!」という意欲が出てきたら、少しでもいいので外に出てみましょう。
最初は怖いかもしれません。家の周りやベランダ、玄関前に出るだけでも大丈夫。
小さなことの積み重ねが、後の「社会参加」につながるでしょう。
ぜひ、無理せず「社会参加」してみてくださいね。

参考サイト

参加(さんか)とは? 意味・読み方・使い方をわかりやすく解説 – goo国語辞書
・復帰(ふっき)とは? 意味・読み方・使い方をわかりやすく解説 – goo国語辞書
みんなの双極症/南中さくら,2021,合同出版
うつ病や適応障害などの精神疾患からの「社会参加」とは?自立訓練(生活訓練)事業所を活用した社会活動への取り組み | ニューロリワーク (neurorework.jp)

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この記事を書いた人

作業療法士(OT)で双極性障害Ⅱ型当事者。妻と猫の3人暮らし。
最近短時間就労を始める。
作業療法士という医療職として、双極症の知識や個人でも行える作業療法の技術をお伝えできればと思っています。少しでもお役に立てると嬉しいです。

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