双極症(双極性障害)のリハビリテーション:自身の生活や睡眠を記録し、客観的にみつめてみよう
双極症Ⅱ型当事者、作業療法士のおとです。
前回は自身で行える社会参加へ向けた軽めのリハビリをお伝えしました。
今回は生活リズムや睡眠を記録しよう!というお話です。
復習を兼ねて読んでいただけると、スムーズに読めると思います。
社会参加のリハビリはうつ状態の回復期に始めることが多い
こちらの図は、うつ病の回復モデルです。
双極症のうつ状態におけるリハビリや回復の過程と、さほど違いはありません。
社会参加のリハビリは回復期になって始めることが多いです。
- 興味・関心が重いうつ状態よりは出てきたが、まだ十分ではなく、日常生活においてさまざまな活動に対しては消極的な状態が続いている。
- 体力や集中力は増加傾向、一方で行動や日によって疲労度が強い
- ストレスに触れると体調が悪くなりやすい
上記が回復期の特徴です。図のように波が上下しながら右肩上がりに回復するイメージです。
状態が落ちたからと言って、すぐ抑うつ状態に落ちるわけではありません。
自身の調子や行動を記録しよう
回復期は自身の調子や行動を見極め、生活を送るにあたって病識を高める時期でもあります。
病前と同じ生活スタイルでは、再度躁やうつ状態に陥る可能性が高くなります。
少しでも寛解状態を長く保つために、記録をつけてみましょう。
記録をつけるメリット
1. 気分変動の予測
睡眠が不足したり、過剰になったりすると、躁状態や抑うつ状態に陥るリスクが高まります。
どのような睡眠パターンが気分に悪影響を与えているかを把握し、気分の変動を予測しやすくなります。
2. 医療チームとのコミュニケーション向上
記録は、医師や治療者にとっても貴重な情報源です。
治療方針や薬物調整がより正確に行われる可能性があります。
3. 睡眠衛生の改善
睡眠パターンを自覚することで、自分自身の生活リズムや習慣を見直し、睡眠衛生を向上させるきっかけになります。
規則正しい睡眠週刊の維持が双極症のコントロールに繋がります。
4. トリガーの特定
睡眠パターンと生活のストレス要因や外部環境の変化との関連性を見つけやすくなります。
躁状態や抑うつ状態を引き起こすトリガーを特定し、予防するための対策が講じやすくなります。
睡眠覚醒リズム表
こちらは睡眠覚醒リズム表です。
画像だと見えにくいので、PDF 睡眠・覚醒リズム表02042012.xlsx (secretariat.ne.jp)をご覧ください。
双極症の方が1日の生活を振り返り、どんな時に体調の変化が出やすいかを振り返るシートです。
1か月、24時間分のマスがあり、睡眠していた時間、床についていた時間を記録します。
また、外出した・1日の気分はどうか・実際に行動した内容を記載することができます。
記載したものは医師や心理士・作業療法士と共有することで、治療効果を高めやすくなります。
自身が客観的に行動を振り返ることができ、規則正しい生活になりやすいのもポイントです。
自身で1からつけ始めるのは正直大変ですし、習慣化するのも厳しいと思います。
そんな方には、ネット心理教育のワークにて、記載方法をわかりやすくお伝えしています。
ネット心理教育のオリジナルシートは上記と少し違う部分があり、症状を安定化しやすい内容になっています。
詳しくは10月27日(日)【深ゼミ】当事者ができること 開催 – ネット心理教育ピアサポート (shinrikyoiku.com)
をご覧いただき、受講していただければと思います。
基本的には毎月開催されているので、HPなどで予定を確認していただければと思います。
オンラインZoomを用いた形式です。
まとめ
寛解状態をできるだけ長く保つためには、自身の生活リズムを知ることが大切です。
病前と同じ生活リズムだと、再度躁・うつ状態に陥る確率が高いです。
そうならないためにも病識をつけ、新たな生活リズムの確立を目指しましょう。
睡眠覚醒リズム表をいきなりつけるのは大変な作業です。
ぜひ、ネット心理教育のワークに参加してみてください。
当事者の皆さんと参加することで、新たな発見があると思いますよ。
参考サイト
・田島治:うつ病の薬物療法の精神病理学的意義.2015
・双極症委員会 | 日本うつ病学会 Japanese Society of Mood Disorders (secretariat.ne.jp)
・睡眠・覚醒リズム表02042012.xlsx (secretariat.ne.jp)