双極症のリハビリテーション:病前6~7割の回復状態での外出(社会参加)に向けた脳リハビリテーション

双極性Ⅱ型当事者、作業療法士のおとです。
前回は、双極症のリハビリテーション:外出(社会参加)へ向けた脳リハビリテーション – ネット心理教育ピアサポート
というお話でした。
双極症での症状改善や再発・再燃予防のためには、適切な薬物療法だけでなく、病状悪化のリスクを高める行動を減らし、再発予防的な健康的行動を増やすことが重要です。
双極症の方は認知機能低下が起こりやすく、実生活に影響を及ぼす可能性が高いです。
今回はその続き。病前6~7割の回復状態での外出(社会参加)に向けた脳リハビリテーションです。
人によっては就職・復職・主婦(夫)、学生などの社会参加が近づいてくる時期のことです。

目次

回復期後期(生き方を見直す頃)のリハビリテーション

病前の 6〜7 割の回復状態となる頃で、気分は改善しても意欲が低下している時期。
集中力が続かないことで体力低下を感じ、疲れやすい時期です。
一方で、上記の症状は本人の怠けや気持ちの問題などではありません。
気分の回復と、意欲、記憶力、集中力や体力などの回復には時間的なズレがあることを認識することが大切です。

できることをこなしていきましょう。

病前の生活リズムを見直し、趣味を見つける

この時期には生活リズムが整い、洗濯や掃除などの生活に関わる動作が行えるようになります。
社会参加や今後の生活を具体的にイメージしながら心身を慣らしていきましょう。
病前に行っていた趣味を再開したり、興味があるものを行い、新たな趣味を見つけてみましょう。
趣味は気分の安定化に繋がり、ストレス解消法にもなり得ます。
何か作業に短時間でもいいので「没頭」してみることも、脳のリハビリテーションです。

何をどのくらいやると疲れるのか把握、修正する

図書館やカフェなどといった、人がいる場所で読書などの作業をしてみましょう。
心理教育やデイケアなど、誰かとコミュニケーションがとれる場があるとなおいいです。
人がいる場所での作業や他者との会話は、脳に対して結構な負荷がかかります。
それらを通して、物事の捉え方や考え方、感情がどのように動くか客観視してみましょう。

力の抜き方や休息のとり方を学び、「こうすればよいのか…」など、ストレス対処技能を高められるといいですね。
回復が進むと、作業や他者との会話を通して、「嬉しい」などの肯定的な感情が起こりやすいです。
背景には、作業遂行による心身機能の賦活とその心地よさ、小さな成功体験の積み重ねによる自己効力感、
他患との交流によって得られる共有体験などが関係しています。

ストレス対処技能の獲得

認知の偏りを修正し、ストレス対処技能を高める時期。
認知行動療法の理論を活かした心理教育を積極的に取り入れましょう。

・考えを切り替える(認知再構成)
・行動を通してこころを軽くする(行動活性化)
・こころと身体の緊張をほぐす(リラクセーション)
・自分の気持ちを上手に伝える(アサーション)


などを学ぶことが推奨されています。
ネット心理教育のゼミやワークを受けるのも1つの手です。
認知行動療法については、ハックさんの記事にまとめられています。
双極性障害(双極症)の心理社会的支援:認知行動療法の重要性と実践 – ネット心理教育ピアサポート
双極性障害(双極症)とストレス:理解と管理の重要性 – ネット心理教育ピアサポート
双極症とストレスを知る。 – ネット心理教育ピアサポート

まとめ

  1. 気分と意欲・体力のズレを理解
    • 気分は改善しても意欲や体力が戻るには時間がかかることを認識。
  2. 生活リズムの見直しと趣味の獲得
    • 日常のリズムを整え、趣味を再開して気分の安定を図る。
  3. 疲れ具合や負荷を把握
    • 図書館やカフェなどの活動を通じ、疲れやすさや休息の必要性を把握。
  4. 成功体験を重ねる
    • 小さな成功や交流で自己効力感を高める。
  5. ストレス対処法の習得
    • 認知行動療法などでストレス対処のスキルを学ぶ。

このように段階的に社会復帰に向けた準備を進めることが大切です。

参考リンク

・guideline_20181119.pdf
guideline_sokyoku2023.pdf

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この記事を書いた人

作業療法士(OT)で双極性障害Ⅱ型当事者。妻と猫の3人暮らし。
最近短時間就労を始める。
作業療法士という医療職として、双極症の知識や個人でも行える作業療法の技術をお伝えできればと思っています。少しでもお役に立てると嬉しいです。

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