年始だからこそやりたい双極症(双極性障害)の目標設定

皆様、明けましておめでとうございます。
今年もNPO法人ネット心理教育ピアサポートをよろしくお願いいたします。

さて、新年を迎えたと同時に色々な感情を持つ方がいるでしょう。
病状への不安・期待・焦り・悲しみ…それは当然のことです。
しかし、やみくもに生活しているだけでは、双極症の波は安定しづらいのが現状。
寛解状態(主な症状が2か月以上ない場合)を長続きさせるために、目標を設定してみませんか?

目次

目標設定のやり方

自身で目標を設定する際には、自身の状態や特性に合わせることが重要です。以下に、目標設定をサポートする具体的な方法やポイントを挙げます。

1.目標設定の基本原則

a. 小さなステップから始める

  • 大きな目標は、負担や挫折感につながる可能性があるため、短期的で達成可能な小さな目標を設定します。
    • 例: 「毎日10分散歩する」→「1週間で3回散歩する」

b. 柔軟性を持たせる

  • 気分の波があるため、目標を「状態に合わせて調整可能」にします。
    • 例: 「調子が良い日は30分の散歩、悪い日は家でストレッチ」

c. 自身にとって意味のある目標にする

  • 他者が押し付ける目標ではなく、自身が価値を感じる内容にする。
    • 例: 「趣味を再開したい」「友人と会う機会を増やしたい」

具体的な目標の設定方法

(1) 活動志向の目標

自身が達成したい「活動」を明確にします。例: 「買い物に行けるようになりたい」

(2) 能力志向の目標

その活動を達成するために必要な「能力」に焦点を当てます。例: 「20分程度歩けるようにしたい」

(3) 環境調整の目標

環境要因が壁となっている場合、その改善も目標に含めます。例: 「人混みが怖いので、少ない時間帯を狙う」

(4) 行動目標

自身が主体的に取り組む行動を目標化します。例: 「週に2~3回散歩に行く、毎日外の光を浴びる」

短期・中期・長期目標の具体例

長期目標(3~6か月以上)

  • 「通院後に少しの疲労感で買い物できるようになる」
  • 「趣味が楽しく思えるようになる」

(2) 中期目標(1~3か月)

  • 「週2,3日、20~30分の散歩が行える」
  • 「図書館やカフェなど、静かな場所で過ごすことができる」
  • 「何かの作業を連続して1時間程度行える」

(3) 短期目標(1週間~1か月)

  • 「カーテンを開けて、5~10分外の光を浴びる」
  • 「興味が出たものを行ってみる(スマホ触る、動画・音楽鑑賞など…)」

自身のモチベーションを引き出す工夫

目標は自身が意義を感じるものであることが重要です。以下のポイントに注意します。

自身の価値観を尊重する
「周囲が望む目標」ではなく、「自身がやりたいこと」に寄り添う。例: 「好きなご飯を食べに行きたい」

具体的な成功を体験する
小さな目標をクリアすることで、達成感を得られるようにします。 「今日は窓際で5分座れた!次は7分を目指そう」

自身をたくさん褒めてあげる
人生の主役はあなたです。出来たらご褒美を設けるなど、たくさん褒めてあげてください。

まとめ:目標は共有と見直しをしよう!

目標は病状を改善・安定したり、人生を豊かにする手助けになり得ます。
よかったら目標設定をしてみてください。また、目標は周囲の方や主治医などと共有するといいでしょう。SNSに書き込んでみるのもいい手ですね。
目標を早く達成できそうなら高い目標設定へ。無理そうなら低い目標設定にしましょう。達成できなくでも大丈夫。自分を責めないでください。過程が大事なのです。
2025年が皆様にとって、豊かな1年になることを願っています。

参考サイト

作業療法における目標設定の概要 | XPERT
目標設定_枚方士会_勉強会.pdf


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この記事を書いた人

作業療法士(OT)で双極性障害Ⅱ型当事者。妻と猫の3人暮らし。
最近短時間就労を始める。
作業療法士という医療職として、双極症の知識や個人でも行える作業療法の技術をお伝えできればと思っています。少しでもお役に立てると嬉しいです。

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