あの偉人はなぜ双極症だと言われているのか? その理由

双極症当事者で薬剤師の窓師(まどっち)です。
歴史を振り返ると様々な偉人が双極症ではないかと言われていますね。例えばゴッホはその代表者でしょうか。
しかし、これらの偉人はどうして双極症だと推定されているのか、いつの間にか「そんな感じがする」なんてゆるく思われるようになったのか?今回はその根拠を調べてみました。
以下のリストについてですが、時代が時代ですのでDSM-5TRとかICD-11を適用しようとしちゃダメですよ。あくまで推測です。といっても勝手に「この人双極っぽい」と言っているわけでなく、それぞれの人物について専門家によって文献や資料を分析した研究成果が論文として発表されているようです。
目次
🔹 古代〜19世紀の偉人たち(死後診断が中心)
名前 | 時代・国 | 職業 | 双極症の根拠 |
ヴァン・ゴッホ | 19世紀・オランダ | 画家 | 激しい気分の変動、自傷行為(耳切り)、作品の爆発的制作期と沈黙期の繰り返し、弟テオ宛の手紙に躁的記述も多い。 |
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン | 18〜19世紀・ドイツ | 作曲家 | 気分の激しい変動、対人関係の不安定さ、多作と沈黙期の極端な交互。近年の研究で双極スペクトラム障害の可能性が指摘されている。 |
エドガー・アラン・ポー | 19世紀・アメリカ | 詩人・作家 | アルコール乱用、うつ病エピソードと創作の爆発期、躁的文章。精神疾患研究者 Kay Redfield Jamison によって双極症の可能性が示唆されている。 |
ジャン=ジャック・ルソー | 18世紀・フランス | 哲学者 | 疑心、極端な孤立、執筆活動の波と高揚した手紙など、後年の精神状態の不安定さから推定されている。 |
チャールズ・ディケンズ | 19世紀・イギリス | 作家 | 爆発的な創作力、睡眠時間の極端な変化、極度の興奮と落ち込みの反復が指摘されている。 |
🔹 20世紀以降(診断に近い記録も含まれる)
名前 | 時代・国 | 職業 | 双極症の根拠 |
シルヴィア・プラス | 20世紀・アメリカ | 詩人 | 明確なうつ病エピソードと、過去の躁的状態が記録されており、精神科医による双極II型障害の可能性が高いとされている。 |
ヴィヴィアン・リー | 20世紀・イギリス | 女優 | 明確な診断記録あり。うつ状態と躁状態の周期的出現。電気けいれん療法の記録も残っている。 |
アーネスト・ヘミングウェイ | 20世紀・アメリカ | 作家 | うつ病での入院歴、自殺、躁的エネルギーの爆発期が伝記に多数記載されている。 |
カート・コバーン | 20世紀・アメリカ | ミュージシャン(Nirvana) | 過去の躁的な創作活動と、重度のうつ・自殺。家族歴にも精神疾患が存在。 |
ロビン・ウィリアムズ | 20〜21世紀・アメリカ | 俳優・コメディアン | 鬱病と診断されていたが、躁的な挙動と急激な気分の変化から双極スペクトラムを疑う声があった。晩年はレビー小体型認知症も併発。 |
🔹 精神科医による研究・診断的言及
精神科医 Kay Redfield Jamison(双極症当事者でもある)は、自著『Touched with Fire(邦題:炎に触れた詩人たち)』などで以下の人物を「双極症の可能性がある」と記述しています:
- バイロン卿
- メアリー・シェリー
- エミリー・ディキンソン
- ワーズワース
- ロバート・シューマン(作曲家:躁状態でピアノ曲多数作曲、うつ状態で自殺未遂→精神病院で死去)
🔹 日本の偉人で双極症と推定されている人物
名前 | 時代 | 職業 | 双極症の根拠 |
太宰治 | 昭和 | 小説家 | 自殺未遂歴多数、躁的な社交と極端な自己卑下の繰り返し、診断記録はないが精神科医から双極症(または境界性人格障害)の推定がある。 |
夏目漱石 | 明治〜大正 | 小説家・英文学者 | 不安障害・うつ病とされていたが、近年の精神科的再評価では、躁うつ混合状態の可能性を指摘する論文もある。 |
西城秀樹(説あり) | 昭和〜平成 | 歌手 | 自伝での躁的エネルギーの爆発期や、その後のうつ状態について言及されているが、明確な診断記録はなし。 |
まとめ
双極症の可能性がある偉人たちは、その気分の波の中で創造性を発揮してきました。
現代の視点から彼らを見つめ直すことで、苦しみと才能の関係や生き方へのヒントが見えてくるかもしれませんね。
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