うつ病と不眠に対する睡眠薬併用治療の効果:最新研究から

まどっち

こんにちは。NPO法人ネット心理教育ピアサポート理事長で薬剤師の藤田剛(@窓師/まどっち)です。

目次

解説よりも先に、まずまとめ!!

この研究は、うつ病と不眠を同時に抱えている人にとって、抗うつ薬に睡眠薬を加える治療が有効かどうかを調べたものです。結果として、Z薬」と呼ばれる種類の睡眠薬(ゾルピデム=マイスリー、エスゾピクロン=ルネスタなど)を抗うつ薬に加えると、うつの改善や不眠の緩和に短期的に効果があることがわかりました。ただし、長期的な効果や安全性はまだはっきりしておらず、今後の研究が必要です。

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研究概要

研究の目的

うつ病の人の多くは不眠にも悩まされています。
そこで、抗うつ薬だけではなく睡眠薬も一緒に使った方が良いのか?という疑問に答えるために、この研究が行われました。

研究の方法

・世界中の信頼できる臨床試験(ランダム化比較試験)を調査
・対象:抗うつ薬のみ vs 抗うつ薬+睡眠薬
・調査した睡眠薬の種類:

 ・Z薬(ゾルピデム=マイスリー、エスゾピクロン=ルネスタ
 ・ベンゾジアゼピン系薬(トリアゾラム=ハルシオン
 ・メラトニン系薬(ラメルテオン=ロゼレム
 ・オレキシン受容体拮抗薬(評価対象無し)

・計8つの研究(約2,000人のデータ)を分析しました。

主な結果

Z薬を使ったグループでは・・・
1.うつ症状がよりよく改善
2.寛解(うつが軽快してほぼなくなる)率が上昇
3.不眠症状も改善・副作用は大きな差はなかったが、めまいがやや増加

結論と注意点

短期的にはZ薬との併用が有効
ただし、長期的な安全性や他の睡眠薬についてはまだ不明
医師と相談のうえ、慎重に使うことが大切

一般の方へのメッセージ

「うつと不眠、どちらもつらい…」と感じる方へ。
この研究は、抗うつ薬に加えてZ薬という睡眠薬を併用することで、短期間のうちに気分や睡眠が改善する可能性を示しました。ただし、長く使い続ける場合や、他の薬との違いについてはまだ研究が必要です。自己判断せず、主治医と相談しながら治療法を選びましょう。

参考文献

Maruki, T., Takeshima, M., Yoshizawa, K., Maeda, Y., Otsuka, N., Aoki, Y., Utsumi, T., Matsui, K., Tajika, A., & Takaesu, Y. (2025.03.20). Efficacy and safety of each class of sleep medication for major depressive disorder with insomnia symptoms: A systematic review and meta-analysis of double-blind randomized controlled trials. Psychiatry and Clinical Neurosciences. Advance online publication. https://doi.org/10.1111/pcn.13811 (PubMed:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40110890/)

以上

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この記事を書いた人

NPO法人ネット心理教育ピアサポート 代表
双極性障害、ADHD当事者で薬剤師。
起業と株式上場経験あり。

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