双極症の方へ|旅行や帰省で体調を崩さないための長期休暇の工夫

おと

双極症Ⅱ型当事者、作業療法士のおとです。

もうすぐお盆ですね。
旅行や帰省、親戚や友人との集まりなど、普段とは異なる予定がある方も多いのではないでしょうか。
最近は酷暑なので、「家でゆっくりする」方もいらっしゃるかもしれませんね。

普段の生活と異なるリズムや予定が増えると、我々双極症患者は、「躁」や「うつ」になりやすい傾向があります。
つらい「躁状態」や「うつ状態」は何としてでも避けたいものです。
今回は、お盆前に 「長期休暇でも気分の波を安定させる工夫」 についてお話しします。

目次

なぜ長期休暇で体調を崩しやすいの?

生活リズムの乱れ

休暇中は夜更かしをしたり、朝起きる時間が遅くなったりしがちです。
睡眠リズムの乱れは、双極症の人にとって 気分の波を大きくする一番の要因 です。

予定の入れすぎ・なさすぎ

旅行やイベントをたくさん詰め込みすぎると、疲れやストレスで うつ状態に落ち込む ことがあります。
一方で、実は逆のケースもあります。

予定を入れすぎた結果、気分が高揚しすぎて “躁状態” に近づくことがあるのです。
たとえば、テンションが上がりすぎて「3日連続で遊びまわる」「買い物をしすぎる」「眠らなくても平気だと感じる」
こうした行動が続くと、後から急にうつ状態へ転落する“反動”がきやすくなります。
気分の波は上がっただけ下がります。
「気分の波をあげすぎない」という意識が大切です。

また、予定が何もない日が続くと「孤独感」や「やることがない不安」で落ち込みやすくなる人もいます。
予定を入れすぎても、入れなさすぎても体調が揺れやすい のが、長期休暇の難しいところです。

長期休暇を穏やかに過ごすための3つの工夫

睡眠と食事のリズムを守る

まず大切なのは 睡眠リズムを崩さないこと です。
旅行や帰省中でも、なるべく同じ時間に寝て、同じ時間に起きることを意識しましょう。
多少のズレはあっても1〜2時間以内にとどめるといいでしょう。

食事も同じです。夜遅い時間の食べ過ぎやアルコールの飲みすぎは体調を崩す原因になります。
「普段と近い生活リズムを保つこと」 が、気分の波を安定にする第一歩です。

予定の“空白”をあえて作る

「せっかくの休暇だから、全部楽しみたい!」という気持ち、よくわかります。
ですが、1日に予定を詰め込みすぎない よう意識することが大切です。

たとえば、
【午前にお出かけしたら午後は家で休む】
【1日中遊んだら翌日は何も予定を入れない】

このように “休むための時間”を予定として確保する ことが、気分の安定につながります。

夜に“気分の自己チェック”をする

気分の変動を敏感にチェックすることは、気分の安定に必要なことです。
具体的には、寝る前に「-2~+2」で気分を5段階評価してみましょう。

  • -2:強いうつ(動けない、気持ちが落ち込みすぎている)
  • -1:少し落ち込み
  • 0:安定
  • +1:少しテンションが高い
  • +2:強い躁状態(眠れない、アイデアが止まらない、動きたくて仕方ない)

この記録を続けていると、
「最近+1が多いな、ちょっと予定を減らしてゆっくりしよう」
「-1が増えてきた、少し身体を動かそう」

といった調整がしやすくなります。
自分の気分の変化を“見える化”することで、気分の波を客観的に理解できるでしょう。

まとめ|「頑張らない工夫」で休暇を味方に

長期休暇は、心と体を休めるチャンス。
でも、予定を入れすぎたり、リズムを崩したりすると、うつにも躁にも傾きやすい時期です。

  • 睡眠と食事のリズムを整える
  • 予定を詰め込みすぎず、休む時間を予定に入れる
  • 夜に気分を5段階で自己チェックする

この3つを取り入れるだけでも、休暇後の体調はずいぶん変わります。
“頑張らない工夫” を取り入れながら、自分らしいペースで長期休暇を過ごしてみてくださいね。

注意事項

※本コラムは、双極症に関する経験や知識をもとに執筆されたものであり、すべての方に当てはまる内容ではありません。
個別の診断や治療については、必ず主治医等の専門家とご相談ください。

以上

コラムの更新をメールで通知

メールアドレスを登録すれば、コラム更新をメールで受信できます。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

作業療法士(OT)で双極性障害Ⅱ型当事者。妻と猫の3人暮らし。
最近短時間就労を始める。
作業療法士という医療職として、双極症の知識や個人でも行える作業療法の技術をお伝えできればと思っています。少しでもお役に立てると嬉しいです。

目次