双極症の方がデイケアに期待できること

目次

はじめに

 精神科デイケアとは、再発防止、生活リズムの改善、自立と成長、地域生活の充実、対人関係の練習、体力や集中力の回復などを目的に、グループ活動を通してリハビリテーションを行う場所です。
統合失調症の方の利用が多いですが、一方で、アルコール依存症や発達障がい、また、気分障害の復職リハビリを専門に行っているデイケアもあります。
双極症を専門にしたデイケアは少ないのが現状ですが、どういったことが期待できるのでしょうか。

期待できること

①困っていることを明確にする

生活のリズムが崩れやすくて困る、行く場所がないからつい引きこもりがちになってしまう、人づきあいが苦手だけど友達を作りたい、自分の居場所がないといった困っていることが誰しもあります。
病状の安定の有無に限らず、不安や孤独を深める原因となり得るでしょう。
どこに手助けを求めればよいかわからなかったりする方の居場所や生き方を明確にするためにおススメです。

②自身での目標を定めやすい

平成20年度厚生労働科学研究,「精神障害者の生活機能と社会参加促進に関する研究」,齋藤深雪では、
精神科デイケア・作業所利用者聞いた利用目的のアンケート結果が書かれています。
生活をするための力をつけるため
周囲の人達とうまく付き合うため
症状のコントロールや症状悪化時の対処をできるため
自分なりの生きがいや目標をもつため


これらの目的をもって利用する方が多いようです。
デイケアなどの医療資源を利用した方が、目標に向かって活動しやすいのかもしれません。

③医療職と現実的な目標を客観視しやすい

ただ目標を立てるのではなく、デイケアのスタッフ(医療職)と共有することで、より客観視できるでしょう。

医療職が基本的に立てる利用者さんへの目標としては
・生活リズムの維持、再発・再入院予防
・集団に慣れる
・家族の負担減
・服薬、金銭管理
・心理教育への参加
 があります。

③コミュニケーション技能の獲得

個人的には、コミュニケーションの癖や苦手さによって、病状の不安定さを招く人が多い印象です。
対人関係を築くことへの不安、他者との距離感・境界線の曖昧さなどが影響しているかもしれません。
デイケアを通して、他の利用者と支えあったり、苦手なものに取り組んだり、緊張しながらも自分の意見をいったり、と
きには他の利用者と衝突したりと、グループの中で起こるさまざまな問題に対処する中で自信をつけ、自分らしさを発揮するという効果が期待できます。
自身の癖に気づくこともできるでしょう。

④家族や身近な支援者の負担軽減

当事者の病状を安定させることに焦点が行きがちですが、身近な方への支援は行き届きにくいという実態があります。
実際、当事者がデイケアに通っている間は、支援者自身の時間ができます。ホッとする方もいるのではないでしょうか。ストレス解消や少しでも落ち着けるような時間を作ってほしいです。
また、デイケアによっては、支援者の相談にのることや、本人と支援者との合同面接をすることがあります。
支援者向けへの心理教育や支援者たちとの交流会もあったりします。
少しでも支援者の負担が軽減したり、気持ちが楽になってほしいと思っています。

まとめ

精神科デイケアに通うと様々なことを期待できます。自身で行うよりも医療職と目標を共有したり、他の利用者さん達との交流があれば、効果が期待できるでしょう。デイケアに通うか迷っている方の参考になると嬉しいです。

参考サイト

ハンドブック-h1
スライド 1
精神科デイケア

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この記事を書いた人

作業療法士(OT)で双極性障害Ⅱ型当事者。妻と猫の3人暮らし。
最近短時間就労を始める。
作業療法士という医療職として、双極症の知識や個人でも行える作業療法の技術をお伝えできればと思っています。少しでもお役に立てると嬉しいです。

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