双極症の本をどう選ぶ? 当事者・家族・支援者におすすめの4冊
ネット心理教育ピアサポート理事長 薬剤師 窓師(藤田剛)
双極症に関する本はたくさんありますが、「最初に何を読めばよいのかわからない」「自分に合う本を選びたい」と感じる方も多いのではないでしょうか。
今回は、NPO法人ネット心理教育ピアサポートとしておすすめできる、当事者・家族・支援者の方に向けた4冊をご紹介します。
どの本も双極症を理解する助けになりますが、全体像を知りたいのか、日常の悩みを整理したいのか、仕事との付き合い方を考えたいのかで、向いている本は少しずつ変わってきます。
解説よりも先に、まずまとめ!!
今回ご紹介する4冊は、それぞれ得意分野が違います。
- まず全体像をつかみたいなら、『本人と家族のための双極症サバイバルガイド(2023)』
- 基本を学んだあとに、症状・治療・再発予防をもう少し深めたいなら、『もっと知りたい双極症 第2版(2024)』
- 日常生活の困りごとに寄り添う本を探しているなら、『みんなの双極症 日常の悩みから最新知識まで(2021)』
- 働き方や復職、仕事との付き合い方を考えたいなら、『ちょっとのコツでうまくいく! 躁うつの波と付き合いながら働く方法(2024)』
「どれか1冊だけ読まなければいけない」ということではありません。今の自分の状態や困りごとに合った1冊から始めるのがおすすめです。
はじめに
双極症について学ぶことは、単に知識を増やすだけではありません。自分の状態を振り返ったり、再発のサインに気づきやすくなったり、主治医や家族と話しやすくなったりすることにもつながります。
ただし、しんどい時期には、本を読むこと自体が負担になることもあります。そのため、本選びでは「情報量が多いか」だけでなく、今の自分にとって読みやすいか、必要なテーマに合っているかも大切です。
双極症についての書籍は、我が国ではまだまだ少なく、対象者も多岐にわたっています。専門書、入門者向けなどのなかで、当事者・家族・支援者向きの書籍は位置づけが微妙で、選択に迷う方が多いようです。
この記事では、役割の異なる4冊を比べながら、それぞれの良さと向いている場面を整理してみます。
今回紹介する4冊の比較
| 書籍名 | 主な対象 | 向いている場面 | ひとこと特徴 |
|---|---|---|---|
| 本人と家族のための双極症サバイバルガイド(2023) | 本人・家族・支援者 | まず全体像を知りたいとき | 診断、治療、対処、家族や職場での工夫まで広く学べる |
| もっと知りたい双極症 第2版(2024) | 本人・家族・初学者・支援者 | 基本を学んだあとに、もう一歩深めたいとき | 症状、治療、セルフケア、再発予防を整理しやすい |
| みんなの双極症 日常の悩みから最新知識まで(2021) | 本人・家族 | 日常の悩みと知識を結びつけたいとき | 生活に近い疑問を整理しながら読める |
| ちょっとのコツでうまくいく! 躁うつの波と付き合いながら働く方法(2024) | 働いている当事者・復職を考える当事者・支援者 | 仕事との付き合い方を考えたいとき | 就労の工夫や「自分の取扱説明書」を考える視点が得られる |
1冊ずつ紹介します
1.本人と家族のための双極症サバイバルガイド(2023)
まず最初におすすめしやすいのが、この1冊です。
双極症とはどのような病気なのか、どのような治療があるのか、薬とどう付き合うのか、気分の波にどう対処するのか、さらに家庭や職場でどう過ごしていくかまで、幅広く扱われています。

- 書籍名:本人と家族のための双極症サバイバルガイド
- 著者:デイヴィッド・ミクロウィッツ
- 監訳:加藤忠史
- 出版社:日本評論社
- 発刊年月:2023年10月
- Amazonリンク
「病気を知る」「治療を知る」「生活の工夫を知る」という流れがつかみやすく、本人だけでなく家族にも役立ちやすい本です。
最初の1冊としてはやや情報量がありますが、そのぶん長く手元に置いて参照しやすい本でもあります。
こんな方におすすめ:
診断後まもない方、家族と一緒に学びたい方、全体像を1冊でつかみたい方。
2.もっと知りたい双極症 第2版(2024)
こちらは、「基本は少しわかってきたけれど、もう少し詳しく知りたい」という方に向いている本です。
症状、治療、セルフケア、再発予防、研究の話まで、バランスよく整理されています。図やイラストが多く、比較的読み進めやすいのも魅力です。

双極症では、症状のつらさそのものだけでなく、「再発をどう防ぐか」「安定した時期をどう保つか」が大切になります。この本は、そうした視点を持ちながら読みやすく作られている印象があります。
こんな方におすすめ:
基礎知識を身につけたあとに、もう少し詳しく学びたい方。再発予防やセルフケアに関心がある方。
3.みんなの双極症 日常の悩みから最新知識まで(2021)
この本のよいところは、病気の説明だけでなく、日常生活の困りごとに近い目線で読み進めやすいところです。
「双極症って結局どういう病気なの?」「生活の中で何に気をつけたらよいの?」「どうやって症状をコントロールしていけばよいの?」といった疑問を持っている方に合いやすい本です。

- 書籍名:みんなの双極症 日常の悩みから最新知識まで
- 著者:南中さくら
- 出版社:合同出版
- 出版年月日:2021年10月25日
- Amazonリンク
病気の知識を、生活の中の困りごとに結びつけて考えたい方には、特に読みやすい1冊だと思います。
こんな方におすすめ:
日常生活に近い悩みから学びたい方。家族が「まず何を理解したらよいか」を知りたいときにも向いています。
4.ちょっとのコツでうまくいく! 躁うつの波と付き合いながら働く方法(2024)
仕事と双極症の両立を考えたい方には、この本がとても気になります。
「働き続けるヒント」が前面に出ており、うつ状態や不安、認知機能の落ち込み、予定の立て方、刺激の調整、自分の前兆の把握など、就労に直結しやすいテーマが扱われています。

特に印象的なのは、「双極トリセツ」をつくるという視点です。自分の波や前兆、対処法を見える形にしていく考え方は、心理教育とも相性がよさそうです。
また、「働けるか・働けないか」の二択ではなく、どうすれば自分らしく働き続けやすくなるかという視点があるのも大きな魅力です。
こんな方におすすめ:
働いている方、復職を考えている方、就労支援の視点を知りたい支援者の方。
どの本から読むとよい?
迷ったときは、次の順番がわかりやすいと思います。
- 本人と家族のための双極症サバイバルガイド(2023)
まず全体像をつかむ - もっと知りたい双極症 第2版(2024)
基礎から一歩深める - みんなの双極症 日常の悩みから最新知識まで(2021)
日常生活に引きつけて考える - ちょっとのコツでうまくいく! 躁うつの波と付き合いながら働く方法(2024)
仕事や生活設計に落とし込む
もちろん、今の悩みが「仕事」なら4冊目からでもよいですし、「家族と一緒に学びたい」なら1冊目からでよいと思います。大切なのは、今の自分に必要な本から始めることです。
おわりに
双極症の本を読むことは、自分を責めるためではなく、自分を理解し、少し生きやすくするための手がかりを探すことだと思います。
本によって、病気の説明が得意なもの、生活の悩みに寄り添うもの、仕事との両立に焦点を当てたものなど、役割はさまざまです。
今の自分に合った1冊に出会えると、「知らなかった」「自分だけではなかった」「こう考えてよいのかもしれない」と感じられることがあります。
しんどい時期には、全部を読もうとしなくても大丈夫です。気になる章だけ読む、家族に読んでもらう、気になったところを主治医や支援者と話す、という使い方でも十分意味があります。
本は治療そのものではありませんが、治療や生活を支える大切な助けになります。ご自身に合った1冊を見つけるきっかけになればうれしいです。
※注意
この記事は一般的な書籍紹介です。診断や治療、薬の調整については、主治医などの医療者と相談しながら進めてください。
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