第5回双極症には穏やかな時期もある安定期は「学びと備え」の時間
双極症の動画図書館|第5回 解説コラム
NPO法人ネット心理教育ピアサポート 木野内南(布団ちゃん)
今回のテーマは、「双極症には穏やかな時期もある」です。 双極症は、いつも症状が強い病気ではありません。 症状が穏やかな時期があり、その時期をどう過ごすかが、次の波への備えにつながります。 躁・軽躁やうつが強い時期だけでなく、比較的落ち着いて過ごせる時期もあります。ところが、双極症の方にとって、この症状が穏やかな時期はとても大切な時期でもあるんです。
症状が穏やかな時期をどう理解し、どう活かすかは、生活を守るうえでとても大切です。 このコラムでは、第5回動画のスライドに沿って、寛解・小さな波・安定期の準備について説明します。
このコラムは、一般的な情報提供を目的とした心理教育です。 診断や治療方針を決めるものではありません。 気になる症状がある場合は、自己判断で薬を変えず、主治医や医療機関にご相談ください。

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いきなり結論——症状が穏やかな時期は、学びと備えの時間です

双極症には、症状が穏やかな時期があります。 こうした時期を寛解状態と呼びます。 この時期治ったと考えるのではなく、記録・生活リズム・相談先を整えておくことが、再発の予防につながります。
調子が悪いときにすべてを始めるのは大変です。 だからこそ、落ち着いている時期を「学びと備えの時間」と考えることが役立ちます。
双極症は“波”で見る病気

双極症には、躁・軽躁、うつ、混合状態、そして穏やかな時期があります。 そのため、「今つらいか」「今元気か」だけでは、全体像が見えにくいことがあります。(うつ状態、混合状態についてはまた別の回で説明します)
過去にどんな時期があったか、どのくらい続いたか、睡眠や活動量はどう変わったか。 こうした情報を、少し長い時間軸で見ていくことが大切です。
寛解は“薬をやめてよい状態”ではありません

寛解とは、主な症状が落ち着いていて、生活への影響が比較的穏やかな状態を指します。 薬を飲みながら安定している場合も、寛解状態と考えます。
ここで大切なのは、安定しているから薬をやめてよい、という意味ではないことです。 治療を続けながら安定を守ることも、双極症では自然な治療の一部です。
症状が穏やかな時期にも小さな波はある

寛解状態でも、気分や体調がまったく動かないわけではありません。 少し疲れやすい日、少し眠りにくい日、少し気分が沈む日があっても、それだけでうつ状態や躁・軽躁状態、混合状態が再発したとは言えません。
大切なのは、いつもの自分との違いに早めに気づくことです。 小さな波に気づけると、大きな崩れにつながる前に対応しやすくなります。
落ち着いている時に準備しておく

症状が強い時に、新しい仕組みを作るのは大変です。 だからこそ、穏やかな時期にできることに取り組みましょう。
毎日の生活を整えること、自分の場合はどのような兆しが再発につながるのかとその場合にどうしたらよいかを考えておくこと。こんなことに取り組むことができる大切な時間です。具体的にどうしたらよいかは別の回で詳しく説明します。
睡眠記録の方法、受診メモ、相談先、休む基準を整えておきましょう。
- 何日眠れなかったら相談するか
- 予定を入れすぎた時に誰に相談するか
- 買い物や契約を急ぎたくなった時にどうブレーキをかけるか
- 無理を感じたときに休む基準をどうするか
完璧でなくて大丈夫です。続けられる形で準備しておくことが大切です。
まとめ

今回の要点
- 双極症には穏やかな時期がある
いつも症状が強いわけではありません。 - 寛解は「薬をやめてよい状態」ではない
治療を続けながら安定を守ることも自然な治療の一部です。 - 安定期は、学びと備えの時間
記録・生活リズム・相談先を整えることが、次の波への備えになります。
穏やかな時期は、「治ったから終わり」ではなく、「次に備える時間」と捉えることが双極症と向き合ううえで役立ちます。
参考文献・参考資料
本シリーズは、双極症に関する心理教育を目的とした一般向け情報として作成しています。 詳しく知りたい方は、以下の資料も参考になります。
- 日本うつ病学会. 日本うつ病学会診療ガイドライン 双極性障害(双極症)2023.
- 日本うつ病学会. 一般の方・当事者向けガイド「双極症とつきあうために」.
- National Institute of Mental Health. Bipolar Disorder.
- Colom F, Vieta E, et al. A randomized trial on the efficacy of group psychoeducation in the prophylaxis of recurrences in bipolar patients whose disease is in remission. Arch Gen Psychiatry. 2003;60:402-407.
もっと学びたい方へ:双極症の動画図書館シリーズの紹介
双極症については、1本の動画だけですべてを理解するのは難しい部分があります。 この「双極症の動画図書館」では、当事者向けの心理教育を短い動画で少しずつ学べる形にしています。関連コラムや今後の動画も、ぜひあわせてご覧ください。
次回のテーマは、「気分の4つの状態を知ろう」がテーマです。 双極症の中で起こりうる気分の状態を整理し、自分の波を理解するうえで役に立つと思います。
最後に
双極症には、症状が穏やかな時期があります。 その時期は、何もしない時間ではなく、次の波に備えるための大切な時間です。
学ぶ、記録する、生活リズムを整える、主治医と共有する。 こうした小さな取り組みが、生活を守る力になります。 無理のない範囲で、安定期を「学びと備えの時間」として活かしていきましょう。
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