第2回ここが違う!うつ病と双極症うつ状態だけでは見分けにくい理由

双極症の動画図書館|第2回 解説コラム

NPO法人ネット心理教育ピアサポート 木野内南(布団ちゃん)

うつ病と双極症は、どちらもうつ状態が出ることがあります。 そのため、今の落ち込みだけを見ると、区別が難しいことがあります。 第2回では、違いのカギになる「躁・軽躁のサイン」と、主治医に伝えるための整理の仕方を確認します。

このコラムは、一般的な情報提供を目的とした心理教育です。 診断や治療方針を決めるものではありません。 気になる症状がある場合は、自己判断で薬を変えず、主治医や医療機関にご相談ください。

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いきなり結論

うつ状態は、うつ病でも双極症でも起こります。 そのため、今の落ち込みだけを見ると、区別が難しいことがあります。

今日のポイントは、過去または現在に、いつもの自分とは違うほど“上がりすぎた時期”があったかどうかです。 ただし、これは自己判断で診断するための話ではありません。 主治医に伝えるための視点として整理していきましょう。

うつ状態だけでは見分けにくい

気分の落ち込み、意欲低下、疲れやすさ、眠れなくてつらい。 こうしたうつ状態は、うつ病でも双極症でも起こりえます。

つまり、「今つらい」だけでは、病気の全体像が見えにくいことがあります。 今の状態だけでなく、これまでの気分の波を振り返ることが大切です。

双極症の“上がりすぎ”とは?

双極症で大切になるのは、単に「明るい」「元気」ということではありません。 いつもの自分と比べて、睡眠・活動・判断・気分が変わっていたかを見ることです。

見るポイントたとえば
睡眠寝る時間が短くても動けた
活動予定や連絡が増えた
頭の回転考えやアイデアが止まりにくい
行動買い物や決断が大きくなった

自分では「調子がいいだけ」と感じられ、気づきにくいこともあります。 だからこそ、あとから振り返れるようにメモしておくことが役立ちます。

受診では“時系列”で伝える

受診時には、「双極症かもしれません」と病名だけを伝えるより、 いつ、どのような変化が、どのくらい続いたかを伝えるほうが役立ちます。

振り返り質問

  • 数日以上、睡眠が少なくても平気な時が続いた?
  • 予定を詰めすぎたり、活動しすぎたりして止まらなかった?
  • お金・買い物・SNS投稿などが普段より衝動的だった?
  • 自信が過剰、または怒りっぽさが強かった?
  • 周囲に「いつもと違う」と言われた?

家族や身近な人の視点も、受診時の参考になることがあります。 ただし、本人を責めるためではなく、治療に役立つ情報として整理することが大切です。

決めつけず、具体的に相談する

うつ病と双極症は、うつ状態だけでは区別しにくいことがあります。 双極症では、躁・軽躁のサインがあったかどうかが重要です。

大切なのは、決めつけず、具体的に相談することです。 睡眠・活動・判断の変化をメモしておくと、診察で伝えやすくなります。

見分けることがなぜ重要なのか

うつ病と双極症では、必要な治療の考え方が異なることがあります。

うつ病と双極症を見分けることが大切なのは、治療の考え方が変わることがあるからです。 うつ病にはうつ病の治療、双極症には双極症の治療があります。

もちろん、治療方針は主治医と相談して決めるものです。 だからこそ、うつ症状だけでなく、過去の“上がりすぎ”や生活の変化も伝えることが役立ちます。

参考文献・参考資料

参考文献・参考資料
本資料は心理教育を目的とした一般情報です。

本シリーズは、双極症に関する心理教育を目的とした一般向け情報として作成しています。 詳しく知りたい方は、以下の資料も参考になります。

  1. 日本うつ病学会. 日本うつ病学会診療ガイドライン 双極性障害(双極症)2023.
  2. 日本うつ病学会. 一般の方・当事者向けガイド「双極症とつきあうために」.
  3. American Psychiatric Association. Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 5th ed, Text Revision. 2022.
  4. Yatham LN, Kennedy SH, Parikh SV, et al. CANMAT and ISBD 2018 guidelines for bipolar disorder. Bipolar Disord. 2018;20(2):97-170.

もっと学びたい方へ:双極症の動画図書館シリーズの紹介

双極症については、1本の動画だけですべてを理解するのは難しい部分があります。 この「双極症の動画図書館」では、当事者向けの心理教育を短い動画で少しずつ学べる形にしています。関連コラムや今後の動画も、ぜひあわせてご覧ください。

次回は、「うつ病と双極症は何が違うの?」をテーマに、今回の内容をもう少し具体的に深めていきます。

第1回では「双極症という視点が大切」とお伝えしました。 第2回では、その違いをさらに整理しながら、どんなことを主治医に伝えると役立つのかにもつなげていく予定です。

次回は、「躁状態とは?」をテーマに、双極症を理解するうえで大切な“上がりすぎ”について、さらに具体的に見ていきます。

 第3回躁状態とは?“感情”より“生活の変化”で見る

最後に

うつ病と双極症は、うつ状態だけでは見分けにくいことがあります。 違いのカギは、過去または現在に躁・軽躁のサインがあったかどうかです。

ただし、自己判断で病名を決める必要はありません。 気になる変化があれば、睡眠・活動・判断の変化を時系列でメモし、主治医に相談してみてください。

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この記事を書いた人

NPO法人。ネット心理教育では、双極性障害の知識や治療法の情報をYouTube動画とZoomのグループワークで広めています。心理教育とは、病気や治療に関する知識を身につけ『生きる力』にするための心理療法の一つです。

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