双極症の気分の状態と睡眠の関係とは?躁・軽躁・寛解・抑うつでどう変わる?
双極症の気分の状態と睡眠の関係とは?躁・軽躁・安定期・抑うつでどう変わる?
まどっちこんにちは。NPO法人ネット心理教育ピアサポートの薬剤師、まどっちです。
双極症では、気分の状態によって睡眠の質や量が変わることがあります。
「寝つけない」「途中で起きる」「眠っていないのに元気」「寝ても疲れが取れない」など、睡眠の変化はそのときの状態を知るヒントになることがあります。
今回は、躁、軽躁、安定期、抑うつ気味、抑うつ状態に分けて、睡眠の特徴と対策を整理しました。
ご本人が振り返るときにも、ご家族や支援者が変化に気づくときにも、参考になる内容を目指しています。
解説よりも先に、まずまとめ!!
双極症では、気分の状態によって睡眠の出方がかなり変わります。
躁・軽躁の側では、
- 眠くならない
- 寝なくても平気に感じる
- 朝早く起きても元気
といった変化が出ることがあります。
一方で、抑うつの側では、
- 寝つけない
- 途中で何度も起きる
- 早朝に目が覚める
- たくさん寝ても回復感がない
といったことが起こりえます。
大事なのは、「何時間眠ったか」だけではなく、眠気、熟眠感、目覚め、不安の出方まで含めて見ることです。
また、睡眠の乱れは症状の結果であるだけでなく、再発のきっかけになることもあります。
そのため、ふだんから睡眠と気分の変化を一緒に見ておくことが役立ちます。
なぜ双極症では睡眠が大切なの?
双極症において睡眠は、単なる「体調の一部」ではありません。
睡眠は、気分の安定と深く関係しています。
たとえば、躁や軽躁のときには、本人としては「元気」「調子がよい」と感じていても、実際には睡眠がかなり減っていることがあります。
逆に、抑うつのときには、眠れない苦しさが前面に出ることもあれば、長く寝ているのに休まった感じがしないこともあります。
このため、双極症では、睡眠の変化を早めに捉えることが、再発予防や早期対応のヒントになります。
「最近あまり眠っていないのに平気」「寝ても寝てもつらい」といった変化は、見逃さないほうがよいサインです。
気分の状態ごとの睡眠の違い
以下の表は、気分の状態ごとの睡眠の特徴を見やすく整理したものです。
| 睡眠項目 | 躁 | 軽躁 | フラット(安定期) | 抑うつ気味 | 抑うつ状態 |
|---|---|---|---|---|---|
| 入眠 | 眠くならず寝つけない。そもそも寝ようとしないこともある | 寝つきが遅くなりやすい | だいたい一定 | 寝つきが悪いことも、逆に早く寝てしまうこともある | 入眠困難が強く出ることがある |
| 中途覚醒 | 短時間で起きる。起きても平気と感じやすい | 早く起きても平気 | 少ない〜たまにある程度 | 増えやすい | 多いことがある |
| 深さ・熟眠感 | 主観的には足りていると感じやすいが、実際は不足しうる | 浅くても不調と感じにくい | 比較的安定 | 浅い、休まらない感じが出やすい | 熟睡感が乏しい |
| 目覚め | 異様にすっきり。すぐ動ける | 眠っていないのに元気 | そこそこ起きやすい | だるい、重い、すっきりしない | 起きても非常につらい |
| 睡眠欲求 | 大きく低下 | 低下 | 自然な眠気がある | 増えることがあるが、眠っても回復感が乏しい | 増加しやすいが、寝ても疲れが取れないことが多い |
| 眠れないことによる不安 | 少ないことが多い。「寝なくても大丈夫」と思いやすい | 不安は弱めで、「調子がよい」と受け取りやすい | 強くはない | 「また眠れないのでは」という不安が出やすい | 強くなりやすい |
| 対策の基本 | 危険サインとして扱う。刺激・予定を減らし、早めに主治医へ相談 | 早期介入。起床時刻固定、夜更かし予定やSNS・仕事拡大を止める | 維持重視。就寝・起床時刻をそろえる | “寝る努力”より整える。朝の光、昼寝短め、夜の刺激を減らす | 安全確保優先。食事・水分・服薬・受診の維持、悪化時は早めに相談 |
この表は、気分の状態と睡眠を切り分けて理解するための目安です。
実際の出方には個人差がありますが、「自分はどちらの方向に崩れやすいか」を知る手がかりになります。
睡眠の変化をどう見ればいい?
躁・軽躁のときに特に気をつけたいこと
双極症では、「眠れない」より、「眠らなくても平気」のほうが見逃されやすいことがあります。
本人がつらさとして感じにくいためです。
でも、
- 眠る時間が減っている
- 夜更かしが続く
- 予定が増える
- SNSや仕事、買い物などが広がる
- 朝早くから活動できてしまう
こうした変化がそろってきたら、軽躁や躁の方向を疑ったほうがよい場合があります。
抑うつのときに気をつけたいこと
抑うつでは、眠れない場合もあれば、寝すぎる場合もあるため、「睡眠時間」だけでは判断しにくいことがあります。
そのため、以下もあわせて見てください。
- 寝ても休まらない
- 起きるのが極端につらい
- 朝に気分が特につらい
- 眠れないことへの不安が強い
- 生活全体が止まってきている
安定期に大切なこと
安定している時期こそ、
- 起床時刻をそろえる
- 夜の刺激を減らす
- 睡眠と気分を軽く記録する
といった基本が役立ちます。
「調子が崩れてから戻す」より、崩れにくい土台をつくるほうが現実的です。
一般の方へのメッセージ
双極症の睡眠の問題は、「眠れない」だけではありません。
寝なくても平気に感じることや、寝ても疲れが取れないことも、重要なサインになりえます。
もし最近、
- 睡眠時間がかなり減っているのに元気すぎる
- 眠れない日が続いてつらい
- 寝ても回復感がない
- 生活リズムが急に崩れてきた
という変化があれば、ひとりで抱え込まず、主治医や支援者に相談してください。
睡眠は、気分の状態を映す鏡のひとつです。
だからこそ、自分を責める材料ではなく、早めに気づくための手がかりとして見ていけるとよいと思います。
補足
この表は、一般的な傾向をまとめたものです。
実際の症状や治療の判断は個別性が高いため、当事者個別の体調についての相談、治療は主治医の指導に従ってください。
参考文献
- National Institute of Mental Health. Bipolar Disorder [Internet]. Bethesda (MD): National Institute of Mental Health; [cited 2026 Apr 17].
- NHS. Bipolar disorder [Internet]. London: NHS; [cited 2026 Apr 17].
- Mayo Foundation for Medical Education and Research. Bipolar disorder – Symptoms and causes [Internet]. Rochester (MN): Mayo Clinic; 2024 Aug 14 [cited 2026 Apr 17].
- Bipolar UK. Bipolar and sleep [Internet]. London: Bipolar UK; 2025 Sep 30 [cited 2026 Apr 17].
- NHS. How to fall asleep faster and sleep better [Internet]. London: NHS; [cited 2026 Apr 17].
- NHS. Insomnia [Internet]. London: NHS; [cited 2026 Apr 17].
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