精神科デイケアで行う個人作業療法の意味

皆様は入院したり、精神科デイケアで「作業療法」を受けたことはありますか?
作業療法とは言わず、知らないうちにスケジュールに組まれているかもしれませんが…
今日は作業療法の意味、効果があるの?について、お伝えしていきます。
精神科デイケアにおける作業療法の意味

社会生活機能の回復を目的とし、個々の患者さんに応じたプログラムに従いグループ毎に治療します。精神疾患の再発防止に効果があります。もちろん、様々な目的もあります。
・症状の改善: 作業活動を通して、気分転換や集中力を高めたり、症状の軽減を目指します。
・生活リズムの安定: デイケアに通うことで規則正しい生活リズムを整え、睡眠の質の向上や意欲の回復を目指す。
・社会性の回復: 集団活動を通して、他の利用者との交流を深め、コミュニケーション能力を養います。
・自己肯定感の向上: 完成した作品や達成感を通して、自信を取り戻し、自己肯定感を高めます。
・生活技能の習得: 日常生活に必要な動作やストレス対処法などのスキルを習得を目指します。
精神科デイケアで作業療法を受けるメリット
- ストレス発散や気分転換、リラクゼーション効果がある
- 規則正しい生活が身につく
- 集中力や忍耐力がつき、自信が持てる
- 体力がつく
- 社会復帰や日常生活のスキル向上が図れる
- 孤立感が軽減され、情緒面での支援が得られる
レゴ作成を用いた作業療法の一例

とある知り合いの方からの経験で、こんなことを教えてくれました。
「レゴみたいなの作らされて、しかもうまくいかなくて、何でこんなことしてるのかという気持ちになった」
その後対応した作業療法士が「最後まで作ってください!」みたいな感じだったようです。
今回は1人の作業療法士として、私がどんな意味や意図があるのか考えてみます。
場面設定
午前中に図書室のテーブル配置みたいな場所でレゴ作成をする。少しガヤガヤ。Aさんの課題は説明書をみながら1人でレゴ作成。他は各自1人で好きなことをしたり、レゴ作成をする人もいる。Aさんは上手くできなくて、何でこんなことしてるのかという気持ちになった。作業療法士は完遂できるように言った。
作業療法士が見ているもの
・1人で行うため緊張や負荷はかかりにくい。一方、ガヤガヤ(刺激)のある場所で作業できる集中力があるか。
・体力面:どの程度の時間行うと疲れるかの把握。姿勢も見ている。
・感情:意欲の程度、どのような感情か外観で把握。
・ストレス解消手段の獲得:集中することで気分転換になっているか。
・コミュニケーション能力:分からないところは聞きに来る余裕があるか。
・認知機能:説明書の内容に対する理解。できなくてもいい。
個人的には完遂できなくていいと思っています。それが現時点の状況ですし、苦手な方もいます。
私はレゴやパズルが大の苦手なので、聞かれても分からないことがあったり、分からないフリをします。
そんな時は利用者さんに教えてもらったりします。これもコミュニケーション練習です。
グループで行うと…?
あえて道具を共有するしかない状況にします。見ているものは上記に加えて、
・複数人とコミュニケーションが取れるか
・複数人と円滑に作業を進められるか
・グループ内で役割を持てる、決めることができるか
・達成感や感情の変動があるか。できないことは「できない」といえるか。
など、複数人での役割、作業中の行動といった書ききれない色々をみています。
まとめ
「やらされている感」のある作業療法。意味や目的を伝えたほうがいいのだとだと自戒しています。
ただ、伝えられる状況にない方もいるので難しいところです。努力ですね。
作業療法を受けている、または機会のある方は主治医と相談して行ってくださいね。
作業療法に対する疑問解消、現在行っている方の参考に一部でもなれば嬉しいです。
参考サイト
・リハビリテーション部(デイケア・作業療法) « 茨城県立こころの医療センター 茨城県・医療観察・精神科・地域連携
・自立訓練と精神科デイケアの違いとは?それぞれのメリット・デメリットを詳しく解説! | WILL学園