双極症の動画図書館:第35回 双極症とともに生きる――学び・備え・つながりで、自分の生活を守る

双極症を知る・全35回シリーズ 第35回
双極症とともに生きることは、病気のことだけを考え続けることではありません。自分の波を知り、元気な時に備え、必要な時に人や医療とつながる。その小さな積み重ねが、自分らしい生活を守る力になります。
動画はこちらです
このWeb解説コラムと合わせてご活用ください。
医療についてのご注意
このコラムは一般的な情報です。薬の変更や中止は自己判断で行わず、主治医に相談してください。強い不眠、著しい興奮、生活が保てないほどの落ち込み、自分や他人を傷つけるおそれがある時は、プランだけで対応せず、医療機関や緊急の相談先につながってください。
1.健やかな生活は病気だけを考え続けることではない
このシリーズで扱ってきたのは、病気の知識だけではありません。睡眠や生活リズム、気分の記録、薬と診察、家族や周囲への伝え方、医療以外の支えなど、日々の生活に結びつくテーマでした。
大切なのは、すべてを完璧にすることではなく、「学ぶ」「備える」「つながる」を、今の自分に合わせて一つずつ取り入れることです。

2.学び:自分の波を知る
双極症の変化は、ある日突然に始まったように感じられることがあります。しかし振り返ると、睡眠時間、活動量、人と話す量、お金の使い方、考えの速さなどに、「いつもとの違い」が現れている場合があります。
気分だけではなく、睡眠・活動・行動を短く記録すると、自分の早期サインを言葉にしやすくなります。記録は自分を採点するためではなく、診察で状況を伝える材料です。書けない日があってもかまいません。

3.備え:元気な時に、生活を守る手順を作る
不調の真っただ中では、何をすればよいか考えること自体が難しくなります。そこで、比較的穏やかな時に、不調時の対応を小さな手順にしておきます。
- 普段の睡眠と治療をどのように続けるか
- 予定を減らす基準と、休む時の伝え方
- どのサインが出たら、誰に、どの手段で相談するか
- 大きな買い物や退職などの決断を、いったん待つためのルール
治療の続け方や変更は個人によって異なります。主治医と相談して決めた計画を基本に、不都合や心配があれば早めに伝えましょう。

4.つながり:一人で抱え込まない
つながりは、すべてを説明したり、常に誰かと一緒にいたりすることではありません。「主治医に何を伝えるか」「家族にどこまで共有するか」「医療以外にどんな支えがあるか」を、自分の希望に合わせて決めていきます。
診察、薬局、家族や支援者、当事者会、心理教育などは、それぞれ役割が違います。誰か一人に全部を求めるのではなく、必要に応じて複数のつながりを使えると、一人で背負う量を減らせます。

5.自分のペース:できない時は休む
体調に波があると、元気な時の自分と比べて、できないことばかりが目につく日もあります。そんな時は、休むことも生活を守る行動の一つです。「食事を取れた」「診察メモに一行書けた」「相談できた」と、小さくできたことを数えます。
希望を持つことと、治療を続けること、安全を守ることは両立できます。今は学べないと感じる時は、読むのをいったんやめてかまいません。必要になった時に、必要なテーマの棚へ戻れば十分です。

今日の「一歩メモ」
これから続けたいことを一つ:____________
相談したい相手を一人:____________
自分の早めのサインを一つ:________
次に学びたい棚を一つ:__________
全部は書かなくても大丈夫です。一つだけ選び、必要ならこの画面を診察や相談の場で見せてください。
まとめ
- 双極症とともに生きる道は、学び・備え・つながりで少しずつ整えられます。
- 睡眠・活動・気分を振り返り、自分の早期サインとして相談に活かします。
- 穏やかな時に、治療、予定の余白、相談先、大きな決断への備えを作ります。
- 主治医、薬剤師、家族、支援者、当事者会など、必要なつながりを使います。
- できない時は休み、小さくできたことを数えます。完全を目指す必要はありません。

Q&A――振り返ってみましょう

Q1.このシリーズ全体を通して、双極症とともに生活していくために大切だったことは何でしょうか?
双極症とともに生きることは、病気のことだけを考え続けるという意味ではありません。病気について必要な知識を持ち、早期サインに気づけるように備え、必要な時に人や医療につながることで、自分の生活を少しずつ守っていくことができます。
このシリーズで大切にしてきたのは、「学ぶこと」「備えること」「一人で抱え込まないこと」です。全部を一度にできなくても、自分に役立つことを一つずつ取り入れていけば構いません。
Q2.このシリーズで一番役立ったことと、これから一つ続けてみたいことは何でしょう?
この問いには一つの正解はありません。例えば、次のような視点で考えることができます。必要な時には、主治医、支援者、家族、当事者会など、人とのつながりを使ってください。
役立った内容は人によって違ってよいものです。
これから続けることも、睡眠記録、診察メモ、相談先を決めるなど、小さなことで十分です。
参考資料・相談先
- 日本うつ病学会「双極性障害(双極症)診療ガイドライン2023」
- 日本うつ病学会双極症委員会「双極性障害(躁うつ病)とつきあうために Ver.11」
- NPO法人ネット心理教育ピアサポート「ゼミ参加者向け資料 B1・F3」
- NPO法人ネット心理教育ピアサポート「双極症の動画図書館」
- 厚生労働省「こころの相談窓口」
症状の悪化、強い不眠、著しい気分の高まりや落ち込み、自分や他人を傷つけるおそれがある時は、主治医や医療機関、地域の相談窓口へ早めに連絡してください。いま安全が保てない差し迫った状況では、119番へ連絡してください。
作成日:2026年8月22日。内容は一般的な情報であり、診断や個別の治療判断の代わりになるものではありません。
双極症に関係する知識は、薬、制度、仕事、家族、妊娠・出産、生活習慣など幅広くあります。いったいどこから手を付けたらいいのか、戸惑ってしまう方もいらっしゃるかもしれません。
今回は主に双極症の動画図書館の紹介です。全部を一度に学ぶ必要はありません。この35回シリーズで全体像をつかんだら、図書館で本を一冊選ぶように、今の自分に必要なテーマを一つ深く学びましょう。
心理教育は、病名や症状を暗記するためだけのものではありません。病気についての知識を自分の経験や生活と結びつけ、気分の波に気づき、対処や相談の選択肢を増やすための学びです。全部を一度に実行する必要はなく、今の自分に役立つことを一つ持ち帰るだけでも意味があります。
次は、どこを学びますか?
「双極症の動画図書館」は、最初から順番に見なくても大丈夫です。今の自分に必要なテーマからご覧ください。

双極症の動画図書館シリーズについて
双極症の動画図書館シリーズは、YouTube動画とWeb解説コラムで構成しています。
- YouTube動画はテーマごとに要点を5分程度の短い動画でまとめています。
- Web解説コラムはYouTube動画と対応して、動画の解説、補足説明をしています。





さらにキーワードで検索したい方はこちら!
